<1941>「幼い時間の芽」

 ひとつの喧騒が死んだところへ、

 あくびをしつつ私は生まれる

 寝顔は夜の色を静かに飲み

 私は生まれる

 ここは抑揚か

 ここはあなたのひらたい時間のなかか

 私は手を出していた

 静かだ

 まだ生まれていないみたいに静かな夜だ

 

 目と目が触れる

 おそらく私はここを一生呼吸するのではないだろうか

 戸惑いが時間を数える

 私が生まれた人

 あなたの時刻はまたたきする

 今の水

 たいらに生える

 私は時刻と運動して

 そのさなかへ、たいらに生えている人

 

 水をたて

 たてに振動して

 また水にたくわれ

 

 あくびをするその隙間から、あなたは、時間の匂いがした