<1937>「初頭の熱を探る」

 身を移した訳のことなのです、、

 その正面にはっきりとは見えていなかったが、、

 お前はこの丁寧な時間のなかに、

 まっすぐにきこえてきた、、

 あぶらあせが流れますね、、

 あなたはひろすぎるので、

 いちどきに何事も殺到しないようにしているのでしょう、、

 私はこの振るえの先に、

 ひとりで輪を描いています、

 音が続きます、

 遠くで、その、残りの諸々がきこえているときに、、

 私は過ごす道、、

 ひからあたる流れを受け止めている、、

 お前は誰なのだ?

 お前はうつろなのか、うろなのか、、

 かつりと鳴るうつわなのだろうか、

 

 歓楽の空気から出て、、

 私は一歩一歩の静まりのなかを、

 ゆっくりと彫っていこうと、おそらく思っただろう時節のことを、

 今思い浮かべています、、

 そのときわたしに、掘るなどという言が浮かんでいたはずもないとは思いますが、

 独特な線の感じ方をしたのだな、

 と今は考えます、、

 私はただ楽しいだけの時間にいるにはあまりにも、内的姿勢が豊富に過ぎたのかもしれませんね、、

 あたしはここのなかに呼吸を彫り込む、、

 そう言明した、

 そう言明したからには徐々に身体になるよりほかにない、、

 身体の線の熱の持ち方はあなたにも明らかだったのではありませんか?

 そうだね、それはまったくそうかもしれない、、

 ここに触れていたものの数を、

 あなたは得ていた、、

 少し、数が多いくらいではないだろうか、、

 

 あなたの響きに加わったもの、

 その静かな時刻、、

 あなたはざわざわと過ぎるものに触れなさい、、

 あたしはこんなにあけひろげであるというとき、

 そのあけひろげ、

 二人なら二人のなかに閉じようとしないのがもう怖いのだと言う、、

 私はその言の振るえに見事に当たるような思いがした、

 仕草があり、、

 じんとした染みのなかに参じて、、

 あなたは身体をまとめこむ、、

 なに、好きだからいいじゃない、

 好きだからそこにいられていいじゃないという形で、

 人間は納得するものではありませんでしょうな、と、、

 ひとつ、、

 ここに声を傾けている、、

 なにから合わさり、

 なにからささやかれ、、

 まっすぐに続くものに振れ得て、、

 ひとりこのうれいのなかの熱をたぐる・・・