<1220>「煙は燃焼の未来である」

 立って行進を見ていた、

 よそゆきの、乾いた匂いで立っていて、

 いくらも煙巻く、

 たちまちに紛れてしまい、

 途方もない視野に眩んでいる、

 あたしも煙のなかに紛れていくだろうか、

 気温も、態度も、

 熱されたものもそのままはらはらとほどけて、

 通りを立って見ているのは何をしているのか、

 誰が通ったのかもよく知らないのだけれど、、

 懐かしい声の持ち主が、

 乾いた匂いで立っていて、

 触れたそばからぽろぽろと落ちまた吹かれ舞い上がってゆくのだけど、、

 私が私の声をしている、

 誰も確かめようがないかもしらない、

 それで煙の匂い、

 どこか安らいでいて、

 透明な手の平をそっと見せているようだけど、

 誰かしら、

 私はひとつ言うようだけれど、

 何が応えているのかしら、、

 明かりがとてもぼやけてしまって、、

 ただ、シンタイのひとつひとつが、音を立てて、

 存在を知らせるけれど、

 どこまでもふやけた顔でくるくる回転するので、

 だんだん奇異の目で、

 だんだん訳も分からぬという態度で、

 見つめられていて、

 煙は燃焼の未来である、というようなそぶりがどこにもなく、

 過去からとうに引っ張られてきていて、

 私は煙る、

 全くむせることもなしに、

 そいでいて、急いで過ぎていくもの、、

 はじけた人と人の声と、

 立って見ている、、

 それは特別な印を付けていて、

 その印象をなんとなく持ち伝えて、

 苦もなく、紛れたあと、、

 一心に見ていたもの、

 一心に見ていたので中途で分からなくなり、

 手の先きからこぼれ、

 そっくり燃えてしまい、

 私は全くむせることなしに、 

 ひとつ遠くを見ている。

 行進のよそゆきの、懐かしい声を含んでいる、

 中途で振り向いている、

 イツデモ中途で、イツデモ振り向いている、

 それは誰の声とも言えないけれど、

 振り向くにタリ、

 振り向くにアタイし、

 ややほどけて、

 透明なまま姿がとけてしまう、、

 これはどこにいたのだろうか、

 私はボッとして、、

 静かに燃えていた・・・