とうとうさよなら、さよならなんという音が出た。俺が聞いていたのはこんな音ではない。聞かれていたのなら仕方ない手に手をとって、とっておきの挨拶を表現してみようではないか。内緒話、それから一切のズレ。たくましい季節になった。ほら、夜を取れ。それはお前のものだ。なんどでも言う、それはお前のものなんだ。
日常何気ない言葉を交わすことでひたひたと身にせまるものその後ろで私は柔らかさと踊りとであろうそれを戦わそう。
「何故なら、君はとうとうさよならが分からなくなったからなんだ・・・」
執拗だ。その、指の動きは執拗だ。もっともらしい理由を見つけては笑い、見つけては揺れ、ほんの少しの間、これはためらいとなる。
「そう、このままで、ためらいになる・・・」
訊ねるもの、こと、色、無視、袖、幹、揺れ、しみじみと混ざり合い、縦、お前が見過ごすものなら何でも、そら、そら、そら。
どうか、これは、私と一になり、また呼吸に似合っていくのかどうか。似かよったものどもと当然の交わりまた叫び、忌ま忌ましいものはここで。
「ねえ? ね? ほら、さよならしなさいちゃんと、バイバイってしなさい・・・」
それから私は場所を譲る。その意味というより、響きを考えながら響きだけを考えながら。
そんなことから分かっていくのだろうか。眠たげな幼少時はそんな顔をしている。特に、いろいろのことなど、まるで一切が、手を振りそびれているようだ。そういうことならば、ならば何だろう?