<531>「嘘を追う」

 私は、嘘を追っているような気がしました。嘘を追って、心の中ですみませんと繰り返すものの、景色が各々で回転するのでどうしようもなく、ひと揃えの招待をともに見破る癖がついてしまっていたのかもしれません。どうやら、この恩恵を被るや否やの議論がやかましくなる横で、どのようにも拡大出来るとする発言はその場をただひたすらに沸騰させていきました。ああ、どうなることやら、正反対の言葉を、次々に繰り返してもらえますか? その時々で反応という反応にくらくらし、回答から遠いものをぶつぶつとつぶやく程度にまでは回復してきたと言えるでしょう。謎が多い、なんてつまらないことです。これは、謎なんかではなく、そう、何でもないのです何にもないのです。種明かしをする必要がないので、どんと構えている。そのなかに元気やら感じまでもが染み込んで、とてもとてもこのままで感想を述べるだろうとは思われませんでした。

 しかし、一度これからというものを想定してみたらいかがなのです? どうでしょう、それは必要であることを順調に裏切って情けなさとともに進んでいくと思われますが、なにここで一時的にまとまったりほどけたりすることの心地良さを感じていればまだ大丈夫なのかもしれませんが、追いかけるべきでないものを追いかけているのだと考えたことはありませんか? あなたはもう、追いかけないのです、何故でしょう? それは、ここにいることを大事なことだと考えていて、しかも移動がスムーズだからでしょう。ところで、ふいにこの場所が全く何の関係もないものに見えてきたときは、視線を今一度内側に戻してみる必要があります。