<696>「言葉はどこか」

 浮かれポンチがするりと、窓の中を抜ける。ためらいと、少ない声と、ふとした気分、の周りで、抑揚のない、ふたりの話。特に、感覚はない、ところで、また誰とまとめる、不具合な形。動作、必要以上に、動作と、それが壁であるところのもの。通じないひと吹きは、どこを進む。また、つぐまれた、という嘘を連れて、ぼんやりして渡り出す。ただ立っているだけ、いつも少し前を滑って、託していってもそれが何かは分からない。話してくれてもどこが言葉なのかは分からない。

 隠さねばならぬことが、ひとつもないのだとしたら、ぎこちなく笑うよりほか、さて、意識が分かるだけのテンポ、で縛り上げている。まだまだ慎ましく思う、より先の、拡げた位置からひきりなし、覗く腕、というなかでの腕、たまに足元を振り仰ぐなどし、順番に並んでいた息も、ところどころ苦しくならざるをえない。

 どうして、疑問に関係のないことが、次々に小首をかしげてゆくの。わからない、いくらかゆっくりと移れば、かさばらないとも限らない、なかで、緊張そのものをつくり、置くだろう。それを見ていると、繕う。