<721>「嘘は騒ぐ」

 嘘は日の中を通る、あたしの顔とおんなじで。振れるために、ある、のと空振り。いつ、どこで見ている、なじまない嘘の顔。そっとふる、もっともらしきものがそら、ふる、ふる。

 はじけただけで、かざらない。

  かざりたい

 いつもと少しでも、違っているだけ。誰が合わせた、嘘のゆくさき。試したり、複雑に割れたり、そんな話のあとで、嘘がいたずらに、ぞろぞろと這い出してくる。

  みたい、みたい、みたい・・・

 今日あした、また数えて適当と、さみしい嘘。そのあいだ、蓄えてなお、転がる、うわさのなかを、うるささのなかを。慎重に選んだ、いっちょうらのなかを。

 指を出す。小さく音を立て、絡まる。だってあなたは嘘だから。誰に教えられるまでもなく、嘘だから。日々ふるまいのなかでやかましくなると嘘。