<2931>「回転数、私を招ぶ作業」

 形のない見事な、、

 私の膨らみの、

 そのなかにあって、

 あたしは、

 性や名前を、

 獲得することの、

 困難を思い知っていた、、

 私が徐々に諸方へ、

 力のなかへ、

 ただ無数の表示の点滅のなかへ、集まり、

 そうして潜んでいく、

 そういう集中に出会ったとき、、

 私は影も形もない、

 まっしろな時刻にぶつかってきていた、、

 

 あたしは灰になって、、

 風に吹かれるまま、

 あたしは混乱になって、、

 水に呑まれるまま、、

 ただの、存在と名指すには、難しい、、

 奇妙な存在、、

 私からはじまって、

 ひとり、

 時間に覆い被さってくる、、

 ひそかな存在に、

 私は向かっていた、、

 私は、

 過去や記憶との距離をはかり、

 全く白くなったり、、

 全く人格が変更されたり、、

 そのまま身体に、

 知らない糸を垂らしてみたり、、

 こんな場所で、

 こんなさわぎのなかで生まれることは、

 一体私にとって何かと思ったり、

 全ての時間が分かれており、、

 分かれているものがあたしには来る、、

 あたしには存在の影、、

 

 まだ見慣れていない、

 あの人はなんなの、、

 あの人は頭がおかしい、、

 私は作業をする、

 経過する、、

 これが、

 狂だともなにだとも思わず、

 私は作業をする、、

 どこに着くかなどは問わない、

 着くことが未来ではない、、

 回転すること、

 生きて日常に漏れていくこと、

 その日々の更新だけが、

 私を招んでいる、、

 私から招ばれたものも、

 徐々に、

 この場へと集まってくる・・・

<2930>「風の時代」

 肉体の充実を嫌うのか、、

 私は歩くともなく歩いている、、

 からだから搾り出される、

 あなた、

 内界の水、、

 あなた、

 内界の水から、そっくり出てしまう、、

 そっくりころげて、

 からだから、

 しびれでて、

 しびれでた先の私、、

 私から胚胎する肌、

 過去からよそへ、

 よそから、、

 またしらない境界を歌う私、、

 

 からだからふたてに分かれて、

 水を言う私、

 風と言う私、

 あたしは肌からなにから、

 あなたに渡してしまう、

 あなたに任してしまう、、

 うん、、

 かんれんのないように、

 見留められるひとつひとつの出来事の、

 なかで生まれる日々、、

 私は水のなかに、

 そっくり集まって、、

 そっくり踊る、

 しらずしらずのうちに、

 あなたの現象の浮きになる、

 あなたを待っている、、

 風は、

 あなたを待っている、、

 無言のなかに、

 ひとつの小さな粒を渡して、、

 

 私は、

 あなたがいるとき、

 同じ場所が、

 違う空間に感じられて、、

 それにほころぶものがあり、

 太陽も、少し優しく、、

 私から出る空気も、

 普段より少しあたたかく、、

 眠ってしまえそうだった、

 ここで眠ってしまえることは、

 幸せそうだった、、

 あたしは時日の上に、、

 軽い呼吸を置いて、

 もう少しあたりまえに、

 あたりまえの存在になれた、

 存在にさせた、

 あなたに挨拶にきた、、

 あなたと緑との、

 無言の時間・・・

<2929>「内器官、骨と、内時をどう含むか」

 あなたはゆるやかに声を持ち、

 毒を出した、、

 あたしは、

 いくついくつとその浸透が、

 先へのびて、、

 のびた先で、

 全く沈黙してしまうのを見ていた、、

 私は、

 記憶を探り、

 起源を探り、、

 からだに、

 あるべき位置にものがあるのを、

 確かめて安心する、、

 ひとつの儀式が過ぎたあと、、

 私は、

 徐々に内構造を泡に変える、、

 

 からだだって、、

 これは

 どこかへの真剣さをはらんでいる、、

 からだいのりたい、

 どこかへ、

 からだたどりたい、

 助けたい、

 あたしが浮かんでいたのは、

 ひょっとしたら光の海ではないかもしれない、、

 どこかにからだを干し、

 水もなくしてしまったあと、

 落ち着いたトーンで伝えることは、

 ひょっとしたら、

 存在の秘密ではないかもしれない、、

 あなたが駆け出し、、

 私は連絡を拒否する、

 私は黙って、

 しずかに時刻に復帰する、、

 からだはあつまって、、

 骨をどう、

 内時に含むべきか、

 ひとつひとつ相談する、、

 わたしが果てること、、

 それは、

 宇宙が生まれる響きに似ている、、

 

 あたしが人間の歌を出す、、

 内器官は、

 いつもと異なる食事に驚いている、、

 なんでもたくわえな、、

 なんでもまわりな、、

 あたしは、

 からだを横にして、、

 そのすべての嵐と目撃しつつ、、

 しずかに安らいでいる、、

 なあ、

 あたしにはまたはじまりがくるかな、、

 はじまりが、、

 からだは集合しはじめている、、

<2928>「からだがたちきられ、自然光が差す」

 ええっと、

 ただ身体がおし出した、、

 まだどこへ着くかも知らない、

 空気が、

 この空間で遊んでいる、、

 あたしには、

 しずかな、

 まっしろに集まった景色が、、

 ここに浮いている、

 ここにただばらばらに吐かれている、、

 あたしはこわいかこわくないか、

 それすらも定かでないまま、

 あたしは水や水や、、

 ひどい時刻の、

 ぎりぎりのところで完成する、、

 からだがただたちきられ、、

 しぜん光が底からさして、

 あなたは完成する、、

 

 あなたは美のはたでひとつの膜を取る、、

 膜があなたにも生まれたこと、

 膜があなたの泡立ちのひとつひとつを受け取っている、

 あなたは流れていく、

 かるく、

 からだが流れていて、

 水ばかりであることを知るものとして、

 あなたは存在の中に、

 こうしてあった、

 こうして生まれきっていた、、

 きっとそんな存在などなにも、

 本当になにもしらないころから、

 あなたはここに用意されきっていたのだ、

 あなたは存在の泡たちに挨拶され、

 ここに生まれきっていたのだ、

 見ろ、

 ひとつの液の検討が始まる、、

 その場の香り、

 その場の形から、、

 しずかに続く集中がはじまる、、

 あたしはそうして、

 つめたい地面にとらえられ、

 そこに寝転び、

 固有の、

 振動の辺りを探すことになる、、

 

 その回転数に耳を澄ませながら、、

 あたしは角度を持ち、

 あたしはカタコトと鳴る、、

 からだのかたちのひとつひとつ、

 そのさなかに、

 わずかに、

 かたまった私を流していく、、

 だれだ、これ、だれだ、

 だらだらとながれて、、

 ひどく、、

 しらないここちするだろう、、

 私は、真剣と、眠りだ・・・

<2927>「土地と風と私と記憶」

 僅かな身体の振動数から、、

 ここに、

 生まれては溶けてしまう、

 ひとつの感慨をはかる、、

 あたしは、その、

 ひとつひとつのものの重さを見ている、、

 からだのなかで見ている、、

 からだには、

 あなたのフォームが映り、、

 私には、

 静かな回転の時刻が映る、、

 わたしは構えている、

 時間に向けて、

 何に向けて、、

 ひとつの時刻が、

 私に対する、

 構えを出してくる、、

 

 私はそんなヒのなかざまで、、

 しずかに垂れたあと、、

 ここで私が過ごすことを、

 いちいち確かめている、、

 からだに歴史を残すため、

 あたしは、

 先頭に立つという気概ではない、、

 ここから、、

 新しく波を打ちつづけ、

 この響きがどこにでも届くよう、、

 あたしは何かを恨んでいるだろうか、

 あたしは何かを許せていないのだろうか、

 どうもそうではないような気がする、

 あたしは自分の時刻に出ただけだ、、

 軽々と、

 この風に乗り、

 そういえば、なぜ、しばらく、

 しらない土地で、

 風に流されたくなるのか、

 それはその土地と、私と、

 記憶とを、

 束の間一体化させるための、

 私の手順です、

 私の方法です、、

 子どものとき、

 なぜそうするのかも分からず身につけた、

 私の挨拶の在り方なのです、

 

 長いこと この場所で、

 過ごさせてもらった、

 ひとつの旅人のように、、

 私は、

 何かにつかれでもしたように、

 ひたすらに歩いている、

 歩いて、

 歩いている、、

 からだにはいつも風が来てくれる、、

 あたしが生きるように・・・

<2926>「生命幅、生の燃焼の匂い」

 からだからさきに来たの、、

 あなたはあたたかい卵だからさ、、

 あなたが、

 次々、

 現象の中に生み出すひとつの、

 その卵だからさ、、

 あなたは並んでいるの、、

 あなたは訳も分からず、、

 真剣な、

 現象の卵のなかに、

 あなたはかきまわされて、、

 あなたは肌に、

 あなたは新しくなって、、

 いまやこの地平を、

 下ろした呼吸で見つめる、、

 

 あたし、

 順番が来たの、、

 順番が来るということは、

 どうしてこんな重みを持つのだろうか、、

 からだからいのちが千々に漏れ、

 あたしは拾おうとし、

 もうこのぐらいで一杯かなと、

 残りを捨てようとし、

 またひろい、、

 またからだからつくこと、、

 つながること、、

 あたしの生命幅につながること、

 あたしが宇宙ではないこと、

 叫びでもないこと、

 疑問でもない、

 あたしはしらぬまに、

 あらぬ方向へのびている、

 幾筋の光と泥の線です、、

 泥のにおいです、

 泥の時刻です、、

 あたしは現象へ潜って行き、、

 辺りの匂いを嗅ぎます、、

 これが生きている人ではないかしら、、

 これは誰かしら、、

 私かしら、、

 

 私は、

 どうしようもない有限性です、、

 ですから、

 真剣であるよりは仕方のないことだと、

 この頃理解し出したのです、、

 この頃かたまり、、

 この頃少し、、

 生きていることは一日だと、、

 理解し出したのです、、

 あたしは力を張りすぎずに、

 集中していきます、

 日に日に、

 真剣になっていきます、、

 あたしの生の燃焼の匂い、

<2925>「一切無、この点を洗う、秘密」

 まだ鈍く、

 からだがはじまってくるころに、、

 私は居て、

 私は透明な存在から、、

 しずかに事象へうつる、、

 しずかにからだのかたまりになり、、

 私が縁をひらくところ、、

 私が存在の肌にあたるところに、

 それぞれの、、

 形のない夢を移していく、、

 あの姿はだれだろう、、

 あの重みは、

 私は少し遠くなる、、

 この場から、

 少しく遠くなる、、

 

 今、

 つぶがなにかからはたかれ、、

 私は、

 しばし裸でいた、、

 こんな、

 一切無の格好で、、

 私はだらっとしていて、

 困ってしまう、、

 私は、

 しらないヒの肌に、

 まったくはりついていて、

 まったく呼吸も出来ないまま、

 からだから、

 全てがほどけてしまった、、

 からだから、

 全てがきこえてしまって、、

 私はさきに、

 この点を洗ってみることにした、、

 この点は、、

 どこへ浮かぶともしれない、、

 あなたにはっきりとあらわれてくる印のようなのだ、、

 あなたにはっきりと歌い継がれてきた、

 身体の興奮のようなのだ、

 それだから、

 あなたは目覚める、、

 あなたは醒めたあと、

 生活をきいたあと、、

 しずかにここを過ごしたくなる、、

 

 私には肉体の秘密が、

 静かに遠かったり、

 近かったりする、、

 あたしには存在の秘密が、

 静かに息を殺している場面があると知ると、、

 現実に生きることをとても、

 近く想ってしまう、、

 あなたには身体が宿る、、

 すさまじい総量で、、

 わたしには無限の景色、、

 無限の色合いが、

 迫ってくる・・・