<2926>「生命幅、生の燃焼の匂い」

 からだからさきに来たの、、

 あなたはあたたかい卵だからさ、、

 あなたが、

 次々、

 現象の中に生み出すひとつの、

 その卵だからさ、、

 あなたは並んでいるの、、

 あなたは訳も分からず、、

 真剣な、

 現象の卵のなかに、

 あなたはかきまわされて、、

 あなたは肌に、

 あなたは新しくなって、、

 いまやこの地平を、

 下ろした呼吸で見つめる、、

 

 あたし、

 順番が来たの、、

 順番が来るということは、

 どうしてこんな重みを持つのだろうか、、

 からだからいのちが千々に漏れ、

 あたしは拾おうとし、

 もうこのぐらいで一杯かなと、

 残りを捨てようとし、

 またひろい、、

 またからだからつくこと、、

 つながること、、

 あたしの生命幅につながること、

 あたしが宇宙ではないこと、

 叫びでもないこと、

 疑問でもない、

 あたしはしらぬまに、

 あらぬ方向へのびている、

 幾筋の光と泥の線です、、

 泥のにおいです、

 泥の時刻です、、

 あたしは現象へ潜って行き、、

 辺りの匂いを嗅ぎます、、

 これが生きている人ではないかしら、、

 これは誰かしら、、

 私かしら、、

 

 私は、

 どうしようもない有限性です、、

 ですから、

 真剣であるよりは仕方のないことだと、

 この頃理解し出したのです、、

 この頃かたまり、、

 この頃少し、、

 生きていることは一日だと、、

 理解し出したのです、、

 あたしは力を張りすぎずに、

 集中していきます、

 日に日に、

 真剣になっていきます、、

 あたしの生の燃焼の匂い、

<2925>「一切無、この点を洗う、秘密」

 まだ鈍く、

 からだがはじまってくるころに、、

 私は居て、

 私は透明な存在から、、

 しずかに事象へうつる、、

 しずかにからだのかたまりになり、、

 私が縁をひらくところ、、

 私が存在の肌にあたるところに、

 それぞれの、、

 形のない夢を移していく、、

 あの姿はだれだろう、、

 あの重みは、

 私は少し遠くなる、、

 この場から、

 少しく遠くなる、、

 

 今、

 つぶがなにかからはたかれ、、

 私は、

 しばし裸でいた、、

 こんな、

 一切無の格好で、、

 私はだらっとしていて、

 困ってしまう、、

 私は、

 しらないヒの肌に、

 まったくはりついていて、

 まったく呼吸も出来ないまま、

 からだから、

 全てがほどけてしまった、、

 からだから、

 全てがきこえてしまって、、

 私はさきに、

 この点を洗ってみることにした、、

 この点は、、

 どこへ浮かぶともしれない、、

 あなたにはっきりとあらわれてくる印のようなのだ、、

 あなたにはっきりと歌い継がれてきた、

 身体の興奮のようなのだ、

 それだから、

 あなたは目覚める、、

 あなたは醒めたあと、

 生活をきいたあと、、

 しずかにここを過ごしたくなる、、

 

 私には肉体の秘密が、

 静かに遠かったり、

 近かったりする、、

 あたしには存在の秘密が、

 静かに息を殺している場面があると知ると、、

 現実に生きることをとても、

 近く想ってしまう、、

 あなたには身体が宿る、、

 すさまじい総量で、、

 わたしには無限の景色、、

 無限の色合いが、

 迫ってくる・・・

<2924>「細胞のはじめ、挨拶したい」

 何だ、彼は、

 用意されたことがない、

 不思議な、

 真白な天井のもとで、

 生まれて、、

 私は、

 まだこのようなものを、

 見たことも、

 きいたこともない、、

 それを、記憶として、

 膜に、

 ひとつひとつ憶え込ませ、

 染み込ませ、でいくんだな、

 私は、

 そういう世界に来た、、

 

 そういう世界が、

 まるで夢のようだというのは

 なかば当たり前で、

 私には、この陽気も、、

 この、

 生まれた声がところどころから響く空間も、

 私が、生きて、、

 使い尽くしてほしい、、

 私を、

 搾って、

 搾りきってほしい、

 と思っているものたちの声も、

 一緒に、

 この場に混ざっていくことに、、

 いくらか、

 困惑しながら、

 私は、

 細胞のはじめに、

 あなたから教わった、

 こわいということや、

 さびしいということを、、

 そっくり、

 呑み込んでしまうんだ、、

 それはなくならないものだけど、

 そっくり、

 私になってしまうんだ、

 と言っていた、、

 

 この感嘆の初め、、

 あたしが生きているということのはじめ、、

 無限に線がのびていて、

 緑に風が、

 渡り続けているということのはじめ、、 

 そういう、、

 静かに時間を掛け、

 刻まれてきたものたちに、、

 私は続けて、

 挨拶をしたい、、

 挨拶をしたくて、

 この場所に出てきている・・・

<2923>「はじめてあなたの声をきいた」

 かたい殻の中で、

 自然に育ったものたち、

 方々の裂け目から、

 自然に水が落ちていくこと、、

 あたしがそのしたたりにひたり、

 徐々に、

 声の温度を高めてゆくこと、、

 筋肉の、

 ひとつひとつをゆるめてゆくこと、、

 はじめてあなたの声をきいた、

 はじめてあなたが出来てきた、、

 そこにはじまり、

 そこから浮いてくる、、

 あなたの声の姿が、、

 私にはよく見えた、、

 

 私から身体は生まれ、、

 身体から水が去り、

 水が点景に挨拶をし、

 挨拶は花を咲かせる、、

 こんな天気に、

 あたしは見事に生まれきって、

 あたしは見事に育つ、、

 あたしは見事に到達する、

 こんな感情が生まれでて、、

 私は人を好きになっていた、、

 時間をかけてとけていたものが、、

 今ここにひとつの水のたまりとなって、

 あらわれているということなのだろうか、、

 私は、

 しらない時刻から、、

 かんたんにからだが出てきて、、

 その剥がれのひとつひとつが発する、

 熱気を、

 からだに受けていた、、

 からだから発するまま、

 私が受けていた、

 過去の顔たちが、、

 からだする、

 涙をする、、

 あたしのしっている時刻に、

 しずかに顔を出す、、

 あなたは剥がれている、、

 

 あなたは私の言葉たち、、

 言葉たちはしずかな波の面、、

 波の面に寝そべる、、

 あたしと、、

 気がついたら生まれ、、

 方々でほろほろとこぼれる生まれたち、、

 生まれたち集まる、、

 あたしはひとつの名前をする、、

 からだからさらになって、

 ひとつが、、

 もののすがたのなかにあつまって、、

 またからだをする・・・

<2922>「緊張の意味、幕間の命」

 早々に声は鳴ってしまっている、

 鳴ってしまっているのに、

 あなたは、なんだ、、

 そんな、

 しらないものの手つきで、、

 この、

 ちがいのない空のなかに生まれて、、

 次々と、

 おのれの姿と変わりない、

 糸を生み出していく、、

 糸が絡んでいく、、

 あたしは、

 どこかしらないところから、、

 あなたの装いのなかに、

 混じることをはじめる、、

 

 しずかな、

 からだが出合って、、

 あなたも、あなたも、

 振動を、

 このようにあたためていたの、

 これはどこから出たの、、

 私には順にきこえる、、

 私にはこの感動が見える、、

 あなた、

 その手のひらであたためていたものはなに、、

 からだだけど、、

 からだだからなに、、

 ほしいもなにもない、、

 次からひろがる、

 次からひろがる場所に、、

 私は、

 慎重に私の姿を乗せるだけ、、

 からだたくみになるだけ、、

 あなたの振動のなかから、

 これが育つだけ、、

 これがきこえてくるだけ、、

 順に用意された、

 あなたの声が見えるだけ、、

 はい、

 あなたの空白に手を、、

 空間に幕間を、、

 幕間に命を、、

 命はどこ、

 私は捨てているのではない、

 なげているのでもない、、

 あたしの眼差し、、

 

 軽い燃焼、、

 あなたが現実に出て、

 生きているということの、

 緊張の意味、、

 緊張の印、、

 あたしは順番に滑り出て、、

 このかたいけいたい、、

 ものが出て、

 ひとつの手で掴んで・・・

<2921>「時間の逆向き、向き」

 あたしはそこで閉じたものに出会い、

 よく知っている、

 と思うのと、、

 いや、、

 内部で湧き起こること、

 本当には知りようもないし、、

 きっとあなた自身も知らないと思った、、

 きっとどこからか生まれてくるあなたが、

 知らないことに、

 幾層にもくるまれて、、

 ここへ出てきたのだと思った、、

 うん、

 新しい家のなかにいるみたいな、

 不思議な感慨、、

 私は語り、、

 私は身体の粒をしる、、

 

 あたしは出来るだけ、

 からだに近い場所を求める、、

 まだはたらいていない、

 まだはじまっていない、、

 渦が次々に飛び出る場所、、

 今また、

 過去住んでいたマンションの、

 荷物受けの前に立っていて、、

 不安そうに、

 あるいは、

 何ものも把握しきれない目で、、

 ただの公園を眺めている人の、

 その映像のなかに、

 私はしずかに生まれ直していく、、

 ここで生活を、、

 今までの生の積み重ねが、

 まるでなんでもなかったかのように生活を、

 進めることは当然あり得ない、

 そういう場所を、

 時間や空間としてここに、

 持っているということ、、

 私の見つめる時間は長くなった、、

 

 存在のあとかた、、

 私はその内部で燃える、、

 燃焼にも作法というものがあるよ、

 ずっと遠くまで届くように、

 1日1日を、

 確かな仕方で照らすように、

 という、、

 しずかな考えのなかに、

 自分が生まれる、、

 自分は、今、

 夢の世界を作りつつある、、

 漠然と、

 訪れないと考えていた時間が、

 あっさり訪れてしまうことに、

 私は驚いていたりする、、

 それはそれとして、

 私は準備をする・・・

<2920>「透明な部屋、吐いたよ、全記憶との一致」

 あたしがいくつも用意した透明な箱に、

 あなたは順番に住んでいたね、、

 訳の分からない、

 羽や、

 乱舞を届けながら、、

 その回転数の分だけ、

 夢を作り、

 なかへ食い込んでいく、、

 何も音のしない皮膚、

 生まれていない記憶、、

 私が捨てられた場所で、

 私は遠くに浮かびながら、

 からだだけを育て、

 からだに羽があつまり、、

 羽は記憶のありかを探そうとしている、、

 

 あたし吐いたの、、

 そのなかに多量のエピソードが、

 もういずれかわいて死んでしまう、

 ひとつの水のように、

 いくつも溜まっていたのね、、

 あなた、それを見た?

 どうだろう、、

 私は気持ちが悪いとは思わなかった、、

 なにかとつぜんあなたが知っている身体から、

 より名前のない、

 具体的なかたまりになって、、

 一個の振動が、

 吐く動作のひとつひとつが、、

 あなたを作り替えていくような、

 そういう感動の仕方をしていた、、

 そういう生まれのなかにあった、

 そういう液の体験として、

 あなたは作り、

 作り替えられていたんだと思うと、

 汗がそこらじゅうから出てこない?

 私はそんなようだよ、、

 ねえ、、

 ものがとっても長生きする場所に、、

 あたしは、

 あたしの火の立て方を学びに来たんだ、、

 

 あたしからだからいくつも線が出て、

 ちがう、ちがうの、と、、

 透明な生に向かって、 

 何かを言い訳したあと、、

 そんなことも分からなくなって、

 浸る、浸る、、

 たったひとつの水に、、

 あたしは、

 全記憶と一致する日のことを、

 この水に、

 教えてもらったような気がしたんだ、、

 誰、

 誰なの、、

 あなたがその羽ばたきのなかに見せるそれは、

 誰なの・・・