<2920>「透明な部屋、吐いたよ、全記憶との一致」

 あたしがいくつも用意した透明な箱に、

 あなたは順番に住んでいたね、、

 訳の分からない、

 羽や、

 乱舞を届けながら、、

 その回転数の分だけ、

 夢を作り、

 なかへ食い込んでいく、、

 何も音のしない皮膚、

 生まれていない記憶、、

 私が捨てられた場所で、

 私は遠くに浮かびながら、

 からだだけを育て、

 からだに羽があつまり、、

 羽は記憶のありかを探そうとしている、、

 

 あたし吐いたの、、

 そのなかに多量のエピソードが、

 もういずれかわいて死んでしまう、

 ひとつの水のように、

 いくつも溜まっていたのね、、

 あなた、それを見た?

 どうだろう、、

 私は気持ちが悪いとは思わなかった、、

 なにかとつぜんあなたが知っている身体から、

 より名前のない、

 具体的なかたまりになって、、

 一個の振動が、

 吐く動作のひとつひとつが、、

 あなたを作り替えていくような、

 そういう感動の仕方をしていた、、

 そういう生まれのなかにあった、

 そういう液の体験として、

 あなたは作り、

 作り替えられていたんだと思うと、

 汗がそこらじゅうから出てこない?

 私はそんなようだよ、、

 ねえ、、

 ものがとっても長生きする場所に、、

 あたしは、

 あたしの火の立て方を学びに来たんだ、、

 

 あたしからだからいくつも線が出て、

 ちがう、ちがうの、と、、

 透明な生に向かって、 

 何かを言い訳したあと、、

 そんなことも分からなくなって、

 浸る、浸る、、

 たったひとつの水に、、

 あたしは、

 全記憶と一致する日のことを、

 この水に、

 教えてもらったような気がしたんだ、、

 誰、

 誰なの、、

 あなたがその羽ばたきのなかに見せるそれは、

 誰なの・・・