<1708>「何もない面へ、次々に生まれてしまう」

 あたしは小さな方向へ、、

 身体を揺って、求めて、、

 来たのだと、伝えている、

 あたしは身体を結って、ここに放られている、、

 あ、

 そう、前に、

 前になにもないのは当たり前のことなのだ、、

 と言い、、

 私はほうけたまま、移動する、、

 

 波にその速度で、乗り、、

 あたしはそのままばらけてゆきながら、

 しけていて、

 しけていて、なお、見る、動く、、

 身体があるというのはそれに尽きるのだ、、

 個人の好悪はこえて、、

 ただもう動きへ、

 私は生きているから、動いているだけです、、

 動いていないところには、前への契機もないし、

 はじめの一点もないから、

 それは不安なのです、、

 まだ誰も誕生していない不安に、

 ひとりで手を付けるのです、、

 砂をいくつも含み、

 続く、続く、態度が、

 人の静かなしざまが、、

 ここいらにばらまかれていたと見えるから、

 それを拾うのです、、

 ものの分からない隙間で、、

 手を拡大し、

 身体に混ぜ、繋ぐ、、

 繋ぐもののそれぞれを、、

 ここに伝えているのです、

 ほらこちらを見た、、

 透明な暖気でこちらを、

 あたしは新しくめくれて止まないのに、、

 前になにかがあるのを知ることはない、

 ないことは考えられないというより、、

 考えているのかどうかがよく分からなくなる、、

 

 そのはたに線を、

 呼吸の紋を、点々を、、

 続々と、、

 招待され、招待され、、

 つるされて、流れて、、

 今に生きてきた、

 身体がかたまってくると、、

 私は、踊りにかかる、

 それも長い時間ずっと、そうしていたように、、

 踊りにかかる、、

 身体の中で生まれて、

 身体の中で死ぬ、、

 いくつもの存在の仕方が、

 新しい泡だった、、

 なに、こうして膨らんでくる、

 動いていたことが、今になってここにいる、、

<1707>「私は声を掛ける必要がある」

 なに、あんまり見つめすぎていても、いけない、

 そこから何か出る、訳のことではないから、、

 浮かんで、触れる、はたく、

 一量の線がここへ、続くから、、

 

 なに、こちらへ、うたいを寄越せ、、

 寄越したらば、

 そのなかで踊るから、、

 そのなかで踊っている人が続くから、、

 あれ、ものの見事に、軽く出来上がっている、、

 そのものの、まったく同然の、響きがきこえて、

 響きが、きこえて、、

 なに、雲のように、当然に、映る、軽々と、

 している、している、、

 

 なにという身体だ、、

 私はやはり声を掛ける必要がある、、

 私は、やはりこれだけ巨大なものに対して、声を掛けている必要がある、、

 その先へ進んだ、

 複数の行きかい、、

 沈んで、沈んで、、

 深くに埋まったものを、、

 また、かきいだしたところで、音が鳴る、、

 気が付くと、そこへ、着いていた、、

 音が鳴るところ、

 音を置いてきたところへ、

 私は着いていた、、

 どうして何も変わらないと思ったのだろう、、

 私がここに来れた、ということに、

 それは尽きるのだ、、

 

 例えば、その空気の外で再開する人々は、

 どんな事をさせるだろう、、

 私は無量時から、驚きが来て、、

 そこに刺さったままに、なるだろうと思うが、、

 どんな声をさせるだろう、、

 どんな声を通過させるだろう、、

 なるたけ近くで、

 もう、見えているものもなくなるほどの近さで、、

 響きだけを、続けたい、、

 

 あたしはやはり上手く貼られて、、

 その中に浮く、、

 浮いたあとの生活になり、ここにいるのですが、、

 そのことを知り、揺すぶる人々、、

 生活の泡立ちを行く人々、、

 あたしはその中に粒だ、、

 粒もまた粒、他の粒だ、

 集合し、

 あちこちからはしゃぎの様子が伝わるからこそ、

 私はここに、声を掛けている必要がある、、

 じたりとした日の中で、、

 まとまってゆく人の身、の中、、

 私はひんやりとした、奥、静まったところへ、、

 いくつもの音声を溜めている、、

<1706>「手さぐり」

 そこから音を立てて生まれようとした、、

 私が、

 じだら、じだら、と、溜まっていく、、

 それ以外に、為方はない、

 一滴、一滴と、溜まってゆく以外にはなにの、

 作法もないのだが、

 それを見つめて、

 吸い込まれて行きそうなものを、集め、、

 渡す、、

 明日となにと言わずに、渡して、、

 ここの通りをひらくのだから、かして、、

 短い呼吸をそえた、、

 

 遠くの、その響き方からして、、

 揺れてくる、いくつもの道の、知らせ、、

 あなたはそうして、どこから、

 どうやって漏れてきたのだろう、、

 不可思議な調子に巻かれて、

 恥と、爽やかな粒が、交替し、

 そこで混ざり、、

 私の方角へ、、

 今にはっきりとした音を立ててくるように、思う、、

 私が蔵していることを、

 ひとつひとつ知ろうなどという無謀な試みは避け、、

 ただ、手掛かりになる具体的な動きの往復だけを掛け、

 そこへ続き、、

 時々見たこともないところへ潜ってゆけばいい、、

 響きもどこから来たかは言わないし、また、、

 どこから来たとも言われないと思う、、

 なんたる領海だか、

 あたしは手を入れているだけだ、、

 不可思議な堆積のなかへ向けて、

 何が見えるのでもないのだが、、

 

 渡された表情を、ずっと持っている、、

 曖昧に帰るにはせよ、

 ここに持っていることは変わらない、、

 のだが、、

 私は、静かに温度を下げて、、

 見えない地点へ、沈んでいく、

 その余の、余のとは言えど、無際限のもの、

 の沈み方を、

 腹で受ける、、

 あ、そうして、また、膨れた時刻に飛び出してくるつもりのところ、、

 状況を仰いで、、

 私はここに一量の仕草を成す、、

 にわかに、触れて、、

 肌という肌には、こんなにも長い、時刻が、

 沈黙の堆積があって、、

 それを分けて、分けて、無量時へ、

 下がっていくことになるなどと、

 思いもよらぬ時日の姿へ、、

 また手を入れる、、

 またほうけた表情が出る、、

 先へ、後方へ、線を繋げるために、そこで、ひとり、、

<1705>「住居の味」

 道を、そこに噛んで、、

 何か、最初の味がする、、

 何か、、移ったままの味が、

 あたしはそれに加わり、、

 最初の方面へ続く、

 あれ、払い、払うのと、、つながり、

 いくつもそこに見えているのでは、

 私は、呼吸をさらに最初へ、、

 道の、どこか深く、奥の方へ、伝える、、

 そんな、響きのなかに住んでいました、、

 

 私がここに一定期間住んでいたというのはなにでしょう、

 なにの響きをそこに、受けるのでしょう、、

 いまや、そこに回転する、いくつものしざま、、

 もののゆきかいざまに、

 見事な温度で触れていました、、

 見事な温度で吹き上げていました、

 なにだ、かたい地面に、続けざまに打たれた、

 点の軌跡も、そのように、振動して、踊りあがる、、

 今に来て、

 その様子を見ていた、

 今に来て、、

 そこからふわりと舞い上がるのを、見ていた、、

 

 少々こんなところで回転をするように出来ていたもの、

 にわかの踊り、、

 存在が、長い時間揺れていて、、

 私も、違う電気を走らせて、

 そこをぼうと見る、、

 見るまに、その、不可能な地点へ、、

 不可能事の笑みで、まっすぐに、

 まいちもんじに入って行きました、、

 私から来て、、

 私から向こうに去り、、

 電気のなかへ、静かに入っていく、それらの踊り、、

 

 その響きのしびれのなかに入れば、、

 肌はあなたのものに、

 一等あなたのものに、、

 その先々の味わいに、

 ひとつ、またひとつと流れていくからにして、、

 増えているもの、揺らぐもの、、

 駆けては過ぎるものなどに、

 一度に合わせてゆきました、、

 肌をそのように集めて、

 続くもののなかへ、私を、、

 静かに推薦してゆきました、、

 

 あの幻惑的な住居にひとつの呼吸を、

 ひとつぶの呼吸種を、、

 植えてゆき、私は先端の小さな、

 白い埃となって、、

 どこまでも飛散してゆくものとなりました、、

 飛散が、紋様、、

 私の絵となり、

 私の姿の中で回転する煙となり・・・、

<1704>「内的な、道の燃焼さわぎ」

 投げかける声をのぞいて、

 一切が、沈黙に、、

 私はそこを行き、まどろむ、緩まる、、

 ひとつの手の形、、

 ひとつの飽和、

 ひとつの燃焼さわぎに、そっと、帰る、、

 

 あたしは内側がひらく、、

 帰っている、、

 しかし、ここは無際限でもない、

 僅かな量でもない、、

 適当な、大いさのなかに、帰る、、

 

 次々に集まって、ものをさぐる手の流れに、、

 そのまま、まどろみ、、

 また起きてさぐる人の、、様子、

 様子を、ひとつ掴み、、

 ひとつ流しながら、

 この場所で、形を立てて、ひそかに言うこと、、

 私が携えているものなど、なにもないと、

 事実とは違う実感を連れて、

 ちょうど、空気の通り道、

 分かれて、分かれて、、

 出ていくところはひとつである、はずなのに、

 分かれ、分かれて、、

 その装いのさまをきいている、ことになる、、

 ほう、ほう、、

 私は長い、

 ほう、

 私は、呼吸によって、長い道を、

 緩慢に、運ばれてくる、、

 運ばれてきたままで、

 過ごしている、、

 

 ちょうど、当たり前にあった道が、

 突然剥がれて、、

 今はどこにもない、

 また、どこにもないのが、当たり前になると、、

 私は、途方もないほうけの気のなかへ、

 しばらく入ることになる、、

 なして、消えて、、

 なして、消えて、、

 夢に踊っている、さまの現実味が、

 一段と増してくるのだが、、

 ほう、ほう、

 いよよ、いよよお、、

 燃焼だ、夢だ、、

 ここは、とにかく踊るところだ、、

 

 一所々々に声をう掛けな、

 緩まる、

 そのままで、線も十分、まあいも十分だから、

 一所々々に、、

 とつぜん湧いて出て、

 僅かに見えたろうもの、

 ふと流れて、、夢のなかで会う、小さな踊りになる

<1703>「日常」

 持っている身振りのなかで、

 何重にも踊りがかさなる、、

 私は、すべてに当たり、

 すべてを束ねて、この一歩とする訳だけれども、、

 この一歩はどこへ行くにも軽く、

 私がそのままの形で生きていることに、手を振っていた、、

 

 私は、一滴で垂れて、膨らんで、、

 その余のものになって、揺らぐ、

 揺らぐものの隙間に、

 また新しい一滴が入り、、

 今に、呼吸の波を作っていた、、

 

 今に、波を作って、当たったところ、

 もう身体は増えて、

 ふやけて、

 ふやけたままで、そこにいた、、

 そこにいる人が、出てくるのを、見留めて、、

 また波へ加わる、

 波へ加わるものの所作を、

 なんとなく、ぼうやりしながら、眺めていました、

 

 あの日だね、

 どの?

 もう前後関係もなにも、なくなってしまうけれど、、

 あの日は、毎日の中のひとつなのに、

 どうしてそんなによく残ったのでしょうか、

 そこに、何か特別なことがある訳でもないのに、

 私はそのなかに増えて、

 ひとつの量の姿を取る、、

 

 現実のこと、

 内的には この今の、日々の回転が、

 今の日々、社会との交流が、

 生きていることの全てだと感じやすい、、

 しかし実はまったくそのようなことはないのは、

 どうもおかしい、、

 明日からぱったりと行かなくなる、

 それは当たり前に分かっていることでも、

 どこまでも現実感がなく、

 何か この道を少し眺め続けてみたりする、

 が、それでも分からない、

 

 生きていることが重なると、、

 参照されることも多いから、

 通り方が分かって、嬉しいことも多い、

 そして、

 これらがみなひとつの身体に収まっていることか、と、

 汗をかいてそのままその場へとけて流れるような気持ちになることがある、、

 それでも、あなたは内側へ内側へひらくことを選んだ、、

 声が一度外へ出て、内に向けて巻いていくように、

 その波に乗って、限りなく延々と過ごすように、

 あなたは選んだ、、

 だんだん、そこへ、呼吸を上手くいれるのが、

 楽しくなっていた、

 日常へ来て、さてというところで、踊っていた、、

<1702>「私は零のさびしさに」

 私は零のさびしさに乗る

 私は零のさびしさに乗って、ただ

 青色にたたまれた風景のなかに、

 一刻一刻と生まれていくばかりである。

 

 私は零のさびしさに乗る

 零、さびしさ

 私からは遠いところに、全部の身体が溶け込んで、

 今の器。

 これには全てが紛る

 これには全てが聞こえる

 

 私は零の、さびしさを渡る 

 間違いのない、さびしさの線の真ん中を

 

 零のさびしさ

 零のうたい

 零の器

 零に映る、太陽の線

 太陽の線を跨いで、優しく歌う人

 姿が見えて、流れていく人

 

 私は零のさびしさに居る

 居所をそこに定め、

 長い時間でもひとつ揺れていますか

 私は、そこに映るもののなかで生きてきて、

 零の、そっと鎮まらせる涼しい高音を聞きました。

 

 私は、いつでもずっと、零のさびしさのなかにいました。