<1702>「私は零のさびしさに」

 私は零のさびしさに乗る

 私は零のさびしさに乗って、ただ

 青色にたたまれた風景のなかに、

 一刻一刻と生まれていくばかりである。

 

 私は零のさびしさに乗る

 零、さびしさ

 私からは遠いところに、全部の身体が溶け込んで、

 今の器。

 これには全てが紛る

 これには全てが聞こえる

 

 私は零の、さびしさを渡る 

 間違いのない、さびしさの線の真ん中を

 

 零のさびしさ

 零のうたい

 零の器

 零に映る、太陽の線

 太陽の線を跨いで、優しく歌う人

 姿が見えて、流れていく人

 

 私は零のさびしさに居る

 居所をそこに定め、

 長い時間でもひとつ揺れていますか

 私は、そこに映るもののなかで生きてきて、

 零の、そっと鎮まらせる涼しい高音を聞きました。

 

 私は、いつでもずっと、零のさびしさのなかにいました。