<1410>「無性に裂けて映る」

 日がそのなかで無性に裂け、

 どこからも入る、、

 瞬間毎、ありとある、その点滅が、、

 私にも、それは感じられ、、

 なんとのうひとつの音をこぼした、、

 

 誰がきいているのか、

 それが揺れと揺れ、もう少し細かくなるようになって、こぼれて、、

 いつまでも、、それが身体を縦にのぼっていくような、

 その肌を感じた、、

 その動きを、

 目のなかを、そこで停止して、、まったくひとつの温度だけで、、

 長く、長く、、

 どこまでも揺れている、

 

 どこまでもその揺れは増えて増えて、

 ひとつの、、

 下方であたたまり存在を変えないところ、、

 の振舞いが、、

 ひとつの手の内側にひたとつき、

 そこから限りのなくどこまでも揺すっていく、、

 仕草を、徐々に、徐々に、、

 肌へ慣らしていく、、

 

 その姿にいつまでも分化して日は映り続く、

 その仕草が、、

 よく映る、、長くなった線に、

 音をなくしながら、、

 騒擾もどこかにほうられながら、、

 ただ、光りがそこへ長い時間当たり、、

 見えている、

 目に見えて剥がれてくる、日々の、、

 そこの隙間、、

 ひとつの確認の呼吸と、、

 乱れてはなやいだ表情と、

 隙間のなんのきない姿が見え隠れする、、

 見え隠れする、、

 ささいなうろ、

 

 よろめいた、

 よろめいたあとにひとつの呼吸を置いた、、

 置いただけで、、

 長い渦、鈍重な、、

 中心部のほうとした墨のありかたに、つられ、、

 そこから放射状へ、、

 種々様々のはたらきが、、

 動きの混雑が、、

 それは音もなくはなやかに、、

 どこへも殺到する勢いを、、

 静かな中心面、

 へ、ひとつ乗せる、、

 隙間のなにとなく鳴るさまなら、、

 目で、、

 無数に、縦横に行きながら、

 見ている、、誰かしらととわずに、

<1409>「道の片側から」

 道の片側から来て、、

 しばらく見てて、

 誰かは分からないまでも、、

 ある響きの辺りで、

 声が来て、、

 私はいくつものほつれを瞬間的に辿ることになった、、

 

 あなたがその道の片側から来て、、

 何も動かず、

 空気も揺れず、、

 ひとつの存在に必要な分だけの、僅かな熱を持って、、

 あたりまえに滑って来る、、

 

 私はもう何を言っていたらいいかが分からなくなり、

 ただ、これだけの身体が、、

 途方もない響きのなかにくるまれていることだけを、、

 ひとつの目で、

 ひとつの身振りで、いつまでも確かめる、、

 

 私は、そこで、なにかの、時間を持って巡るように、、

 して、、長い静かさのなかで、、

 無縁の身体で居た、、

 そこで、さりげない歩の音が続くまでは、

 気味の悪いくらいに現在に、

 いた、、

 どうしたって身体が、、

 二重にも三重にもなる糸のなかを、、

 ただうろのようになって伝えているだけだと、、

 言葉が、初めから、、

 その隙間に通っただけで、、

 私はただここに転がっていただけなのだろうと、

 いう、、

 ものがひとりでに言う、、

 

 別の辺へ、、

 今分からなくなった、誰が走り出すとも知らない、、

 僅かな呼吸音の違いが、、

 そこへ来て、、

 はなやかになる、、

 どうしたって身体が違うことを、、

 ここではなやかに物語る、、

 なにか、これも日なのだろうか・・・

 

 そこに、残りの身体が今もまだ置かれている様子を、、

 誰か、知らない人が休憩中に、

 なにとはなしに眺めて、、

 ふいに声を掛けること、

 その風向きの違いに身体を乗せて、、

 いまにまた連なってそこを見ている、、

 揺れて見ている、、

 あたしはその領域のなかに静かに手を入れたままにしていた、

 まだ分からない声がこのあともするから、

 その方に、

 ぐいと持ち上げて、、

 いままた散らばっているように見えて、、

 そこにほ‐られたままなものも、

<1408>「点が熱に埋まり」

 じりじりとその調子でのぼり、、

 またなにか、、

 どこかから、、そうと確かめるまもなく、静かに浮き出てきて、

 それが絡まる、、

 身体という身体に絡まって、

 それがなにか、

 熱の初め、

 少しずつ身体と似ていく、、

 

 そこへほうと息をつき、身体をいれた、、

 どこかから自然に、、

 作り上がるまもないまま、このまま、

 ここに、、

 黙って流れ着いてきた、、

 

 目的地へ向かう、移動する、、

 そのなかに、ほうけがひとりで置かれている、、

 どこに行くかも訊ねずに、、

 その、静かな席へ、

 ついて、点になる、、

 見事に流れを取り去られて、、

 これから、長い時間、点になるものを、、

 あれや、これや、、

 どこにも探し出そうとする、、

 どこにも浮き出てくる、、

 私は、、僅かな時間のまとまり、、

 それは距離をうしなって、、

 どこからも浮き出ようとするもの、

 それらの全部、、

 

 もしかしたら、あちこちに点の人、私、

 それが、遠方で動かなくなって、、

 そこらを不動の目で眺めるかもしれない、、

 それは時代毎に吹いて、、

 勝手々々にどこかへ紛れてしまうようでもあり、、

 それを、、また生きていることよりも軽くなって、、

 黙って、ただ巻いて、

 ゆるやかな、

 

 それがまずばらばらに合わさってそのことから、

 適当な熱を、、

 また揺り動くことを小さく知りながら、、

 あたしのなにか映像のなかに、

 長く長く駆けているところがあり、

 それは点を外れず、、

 風に揺るがれず、

 ただたくみに紛れている、、

 

 ほうと点を見留め、、

 過日の多くは気ままに去っていた、、

 いくつかが去って、、

 見留める目、、

 中心に身体が出来て、、

 いくつも先の、、

 見えない動き、、そこに点が埋まって、、

 揺れによって出てくる、

<1407>「無限回の線が通る空気」

 中途にいて、日がまだ響き渡るのを、そのままきいて、

 どうにかこう、今のこの膨れを確かめる、、

 あたしが様々に巡りそのいちいちを日の下にひろげて、そうして確かめている、

 あちこち様々の音を、、

 聞き分け、上手く身体のなかに伝わっていったあとはそのまま、

 ぼうっとほっている、、

 なにだかが分からぬながらたくみな、、

 描線で支えられているそこの身ひとつを、、

 様々の場所へ、、

 

 そうして道のどこともいえないまだだらだらと明るさがそこらに自由にほ‐られているところへ、

 いくつもの栄養価を含み、、

 いくつも揺り、突かれて、、

 ここらへほられて来た、、

 いくつまだ線と呼べるものばかりか、

 いくらもこの徐々に溜まっていくあつさを、、

 静かにただこの身体ひとつが過ぎる、、

 小さな風をそこへ少し落としながら、、

 身体がずうっと前へ、

 道は蓋をあけたりとじたりしている、、

 

 そこらへんから漏る空気のあつさ、、

 うっ、うっとするなかを、、

 頻りに覗いて飽かない似姿よ、なんという、、

 あなたの身振りの時間なんだ、、

 似姿の時間がそこから他の時間へも緩やかに垂れ、垂れ続けているのを繰り返し、

 繰り返し、穴のアくほどに見つめ、、

 これがなになのかがついに分からなくなるほど、それだけの、、

 じっと熱を残す時間がここにつくられたのだと知った、、

 

 身体の在り処にいつもかむされてくる、その方途や音のすっかり抜かれた跡など、、

 まるで個、一個人が無数にその形を、、

 風にして小さくほ‐るそぶり身振りでここらへんに、、

 そのなかにあってまだいくつも無限回の線が巡っていた、、

 上手くこのなかへさめて、ほぐされている、、

 

 そうしたもの、遠くになったから、

 小さな形だけがいまだ小さく変化しながら、

 人の浮遊するところの静かな色になっていてそこにあり、

 それを見るもの、

 それを生きていた人がいまも生きているというのが、

 ここらへんへ垂れるその音で分かる、、

 今尋常の、誰も知らない空気に当たっていると思われることが、、

 どこかで上手く諸々のものが抜けて、、

 遠方で、小さな通り道を飾るひとつの揺れ動きになるだろうということを、、

 上手く考えようとしても、それは困難であって、、

 勝手々々に液が流れるのを、、

 ぼう、とほっぽらかしながら、、

 それを見ながら、、

 日の下に中途から徐々にあらわれて、いる、ということなだけで、

<1406>「普通量の枠から」

 直に目を合わせてもういくらかが経つような、

 そういうところへ身体が居合わせた、、

 ことんとひとりの音を立てて、、

 もう相当数ばらばらの、

 あやふやな境い目を見ている、、

 

 見つめすぎられた肉体の人、

 ほうけてそのままひきずられてきたような、

 そんないちにんの静やかさをもってここに見つめられすぎていた、、

 ふと見るとほどけて違うものになっていて、、

 もうどんな話し振りもあなたの肌そのままではないと謳う、

 

 軽やかな声がここらを本当に並はずれた柔らかさで伝っていくとき、、

 それは、ほうけて それは、倒れた、、

 あなたの音響、、それも器、、

 身体が順に跳ねて生きているということが伝って来て、

 重さに身を構えている、、

 じり、、じり、じりと、持っているものの、全てを後退させる、、

 

 何かが肌のなかで生きているとすればこれはとても大仰な‐なかにあると言わずにはいられない、、

 身体が、想像しているより余計に、しっかりし出していた、

 これは、この場で少し、余計に煙を含んで、、

 一度後方へ、

 長く見つめている人のなかでさえ、ただ、なににもためらいがないかのように、曖昧で、

 ごろごろと、、

 ごく普通量の人の枠のなかで淀んでいた、

 

 これが通常時の含み方なのか、、

 あ、そうだ、

 壁面に種々雑多の、鋳型の声を残して、、

 その僅かな薄い‐剥がれた空気のなかへ、音声(おんじょう)を持った身が滑る、、

 ・・・、

 

 身体が、このうえへ滑り、そのまま、

 長く強調されてきたものの上に立って、、

 そのまま、、

 壁面が内側、、水を幾らも含んできたようにここでは思われる、、

 互いの浸透を、、

 どうつかまえるか、、

 ここで少しもとけだしていないと頑張る身体はいなかった、ただ、、

 振動して揺れて僅かに取れていくものにぼやぼやとした視線を送ることが可能であれば、、

 これはいくらも後に、それもずっと後に残る時間になると思っていた、、

 液がそのまま垂れた記憶だけを保持している、

 私は揺れと相談をする、、

 この方途にはいくつも溜め息が、、

 後ずさりする身体が、

 過度の水をもって、、

 動いているのではないだろうか、、

<1405>「身体の振りが一所に集まり」

 渡った、そこにいたから、いずれのときにか、上手く、そうして、、

 渡ることになった、

 ものがよろよろと動いていき、、

 そのなかで渡る、、

 まったく、なにか、身体が、、

 不明瞭になりだして、、

 どうなったか、

 

 私はもうもうと渡るのを知りながら、、

 つちに足をつけていた、

 なにかな、どうどう、

 激しい響きが幾つもあって、

 微量ずつ動いている、その上で、

 

 知られているよりも、もう少し長い時間になってここにあった、

 置いていた、いくつもの振り、

 感慨のなかに、新たにいくつものこまごまとした出来事が揺り動いていて、、

 全体がそのまま粒ばかりになって、

 あなたが見ていたことをどうというつもりもなく、静かに覆う、

 知らない人がいつまでも流れている、、

 

 流れに目を添わせていると、、

 いつしか、知らない場所につきあたり、、

 私にもいくらかの波が出てきた、、

 このような波の動きが、

 そうしてなにか新しいことを言う、、

 どこに留まるでもないことを、、

 まだほうけにはより鈍い回転がある、

 より鈍い発話の響き方があるぞ、、

 と試みにこの方面へ、

 言葉を揺っていく、

 

 今いちにんの顔をそこへ見留め、、

 なににも困惑せず、

 昨日起こったことを、、

 粒という粒‐揺り流してほとんど話し出さないでいる、、

 時間の違う人に、、

 これがどうはいるのか、

 それがどうはじかれて彼方へ渡るのか、、

 

 いくつもの線が音もなく跳ね上がって遠くへかかる、、

 遠くの表情が、、

 いくらも懐かしさでないこと、、

 それはどこまでも揺り続けて、、

 他方へ、そのなかで、新しい響きが、

 一切湧き出さずにいるということがないから、、

 なにともなく見留めて、、

 なにでもない動きがここへ滑る、

 そういえばあの、

 身体の振りが一所に集中したときに、

 あそこから見えていたものはそっくり、同じもの、、

 それも、、

 粒の残り方まで同じなのでしょうか、、

 そんな訳はないけれども、

 一応見てみる、とは言っている・・・、

<1404>「無感の底を、蛇腹状ノエネルギイが」

 やたらに出した声が随分遠くまで届くのでしばらくやめてぼうとそこいら辺りを静かに見ている、

 声の一番、先端のところに上手く乗っている、、?

 感応器に違う音が入り、

 しばらくは土混じりの沈黙を、微細な隆起を、、

 その場に、その場に、

 エネルギイが膨れ、、

 どこまでも外に伝って、

 私のやかましい器の、、

 方途のない消費がこの静かな時刻のなかに姿を現している、

 

 目下陽のままに、

 移る影のままに微のままに、

 あたしはあなたがぼうとひろげる風景のなかに声として差し込まれる、、

 それをまま、ただ揺れて見ている、、

 一番手の、先端の振動を、

 それにうなずく、

 

 目下、なかなかに乱れて、

 その先端域でばらばらに散ってしまうことをおもいはしたろうけれど、、

 私は声だから、、

 何をしたらいいなどということはしばらくずっと明るみに出ないままで、、

 あたりまえにほぐれて、、

 この先端の日を、

 めまぐるしく駆けていった、あまりにも静かで、、

 なかなか、陽のままで、、

 

 しばらく水に含まれたままで、、

 無印象、無感の底で地質を滑らかに過ぎていること、

 それが無数に重なり、、

 無数の明滅を過ぎて、

 過去の日の無性の声、、

 膨れて、、

 しれずしれず一切を蓄えてゆくことを、、

 蛇腹状のエネルギイが、

 そっと過日の無声をどこまでも持っている、、

 

 先端にそれがなにとはなく漏れて出る、、

 無声の日の姿は今も沈黙としてあって、、

 その先に膨れて出る、、

 振るえた集中線が、

 その広い空域にすさまじい速さで、、

 ・・・、

 身体が動いて止まなくなった、、

 無感までに いくつもの振とした身のそれが残り、、

 はらはらと溢れて、

 それは破れてまた乾いた沈黙へと、

 動くなかで陽は、、

 無感の底を気の遠くなる奔放さで過ぎる、

 途中の呼吸は、声だ、声だ、、

 ただむやみと響くのを、無心に蓄えて、

 中途に来て、ああ、

 ああ、と、続くんだ・・・、