<1403>「無距離の場所で潤む」

 潤み出しそうになっているものを、どこかからのびやがって来ては触れ、来ては触れているのを、、

 確かめる視線と感慨の在り方、、で、

 今ここにこうしてふらふらと垂れてしまいそうな身ひとつで立って見ている、、

 もの、、けったいな動き、

 、・・・

 新しい歩調の上に何度か‐かむされた香りの、

 その姿に、ひとりでに触れては来ているよう、、

 

 枝に一日のささいな香が掛かってくる、、

 みだれたリズムの内、、

 潤み掛かるほうり込まれた時間の溜まりを、、

 細い直線でびいんと、、

 少しはっきりとして、、跳ね返しているよう、

 

 そのことことと僅かながらに音を立てて出たものの先だ、、

 ものの先の在り方、、

 順に身体のなかにある潤みを渡しながら、、

 見守る、、

 そこには影がいくつもあって、、

 どう、どうと響きの色合いを、、

 変えて、変えて、、

 ひろがりながら来た、、

 

 あたしは流れの先端に対して少しく遠くなる思いがし‐いつまでもその部分々々を飽くこともなく眺め続けていた、、

 細い集合が一斉に鳴る、、

 一斉に鳴っていくことと、、

 した、その膨らみ、、

 

 ついに分かれて何か新しく知るより、

 まったく知られないよりも、

 少し奥の方へ流れてしまったような、

 あたしが触れ方を忘れたのでなく、、

 触れても乾いた表面がその分だけの僅かな振動を見せて終わるのだと言うような、、

 そんな点にひとりの遠さをそのままで置く、、

 と、そう、、

 剥がれそうになっているもの、

 回って外の方へ縁の遠くなった潤みを、、

 

 無距離の場所で、ともかく遠くなった、

 とても、とても。

 私は自由に層を渡っている訳ではないと思うが、、

 消えていることではなく、、

 固着して、、

 長いあいだ触れていても動くものは少ない、、

 それで、、

 ひとつ外側を剥がすようにしていた、、

 これも置こう、、

 時間が、新しい香が殺到する、

 なんでもないよう、事実なんでもないようで、

 固着、剥がれを潤んで迎える、、

 その仕草は今にはなく、

 まだ予感もされていない、、

<1402>「新しい香が絡む」

 肌の傍に、、

 まるで繊細なもの、ぼうとしたもの、口をアいたまま自身なにだか分からなくなったものなどが、

 このように浮き出、

 なににも利かぬような、、

 緩やかな表情を出だしている、

 

 そこへ、何も思わなかった、

 というよりは、

 何を思っていたらいいのかが分からないような、僅かな遠のき方があったのだ、、

 この辺りへの響き方も僅かであるはずはないが、、

 いつもよりも丁寧に黙しているように思えるが、

 

 呼気が緩められたままでどこまでも流れ去っていた、、

 僅か、、

 誰かが何を感知する訳でもないそこの隙間へ、、

 お互いが全く触れていないとしか思われえないところ、、

 より、そこから、、

 僅かな遠方が口をアけて、、

 瞳の後ろを捉える、、

 むしろそこでは漂うことを停止して、、

 窮屈にかたまり、、

 ごつごつと響き合わせた、、通うざわざわとした遠景が、、

 文字を垂らせて、ぼやぼや、、

 ぼやぼや、

 ぼやぼやと曖昧に流れ眺め得る、

 

 たれとたれとということは全く知られないけれど、、

 より多く水分を含んだ巡りの、

 そのなかにあって、、

 どこからどこへも散じていくような為方を、、

 そこで見もする、、

 

 いくそこここからまたなんだか日々が垂れてきた、、

 にた、にた、 にた、にた、

 にた、

 と、、後ろへ、、その経巡りを、、

 全く圧し潰されてゆくような具合で、

 ほうほう、ほうほうで眺めようとするが、

 新しい香がそれに絡んでい、、

 現象は、細かく表情を変えたまま、、

 それがあまりに緩慢で、

 そのゆるやかな速度を見ていると、、

 そのままほうけて吹き上がってしまいそうだわな、な、

 などという、

 いちどそこらへんにほった言葉、、

 

 ほったものにまた重なるようにして垂れて来、来い来い、、

 妙な香のなかであたたかい、

 にじんで来てみると、

 このような、無距離に、

 いく何千、何万といえるものが、、

 エネルギいを出し合って、

 ここにとどまる、、

 私はその場で上手く憂おうなどという思いはあらわさない、

<1401>「無季節の涼しさ」

 騒ぎの境、覆いの隙間から、、

 突拍子もない身振りを見せる、

 どだい、静けさに違いないことを、、

 黙って、

 しかし次々に生まれる、

 しかし次々に出来上がる、、

 あれ、あれ、と、

 いつもの空隙に対して、

 言葉の根から吹き上がってくる、

 

 そのとき、ぽかんと、ひとりで、

 どうしても、、聞き、

 ひとり全身が聞き及ぶ、

 波が全体に伝わっていくのを、、

 過ぎて、過ぎて、見ていく、、

 なんだ、どうした、

 これから生まれていくのか、

 これは、、

 

 あたしが、、なんとなく、、

 そこに一本の限りを、現出して、、

 すぐにかきまぜる、

 それは、内に熱がこもって、、

 限りなく不分明の音を立てているだけなんだ、、

 顔を近付けてみると、、

 ひとつひとつの小部分が、、

 それ自身知られないものに絡まっていくさまを、、

 ほとんど眠っているような気持ちで眺めることが出来る、、

 熱が別の場所に、、

 

 投げ出されて、、

 外へびたびたとその表面を次から次へとあらわしているとき、

 その、、無季節の涼しさに、、

 声がなくなって、、

 かわりにどこまでも空気が入り、、

 いっぱいに膨らむのをどうしようという気持ちもなく見ていた、、

 そうなのだ、

 無理なく下から真っすぐに生えているような思い、

 その流れのなかを行き、、

 転倒などが一時言葉でなくなるとき、、

 

 その、別の端、、

 小暗い沈黙を意識的に区切り直して、

 身体の節々に熱をいれる、

 眼差す、、

 徐々に方々へそのまま、はじけて、、

 どこまでも揺れる、ぐらつく、、

 そのままかたまり出して、、

 幾つもの層があった、

 それは、ずっと前からあったものに、またあった、

 層が私をひどく身体にしていた、

 徐々に周りのものを呑み込んで、、

 拡大した、小部分の熱を、

 ひっそりとした限りのない外部が、、

 澄みかえった目で長い時間、、

 表層の無感興で見つめている・・・

<1400>「余剰の声」

 そこに、余った声の浮かぶ、

 ただなんとなく際へ来て、、

 ずっと、ずっと重くなってくる、

 内側の、色の増して来かた、、

 時間を掛けて、

 大小様々のものが、ここに、、

 色を置いていく、、それが全部に映っていくから、、

 どの波を見つめても、、

 どのざわめきを見つめても、、

 なにか、線の真っすぐにひかれた、

 そういう声をきくことはもはや出来なくなっている、、

 そこに、、放られたようで、だんだんに、、

 速度があるとも言えない、

 かたまりが、、

 余ったものを、、だらりだらりとあらわさずにはおかない流れが、

 今、その際まで来ている、、

 

 そこでは眩しい、、だの、、重い、だのと、、

 いう、一言、一言はだらだらと呑まれて、、

 内側から、いくらか、そのまま、

 その囲いを抜けて映ってしまい流れてしまい止まないのじゃないのだろうか、、

 などと、、遠くの方に、

 濃くなって、、

 誰の欠けたものか分からない地点から声が、、

 表面にぼうとある紋様を変更するようにして呟く、

 その様を、長く、記憶しているより長く、見ていた、、

 

 あの、吹いて、、溜まっていく為方などをだな、

 ぐいと、、身を傾けることなどによってだ、

 ひとつ取り出される、、

 なんとも熱がじたじたとあって、、

 触れていて、なんと言っているのか、、

 その熱の色、橙と、

 いつまでも目が合って、そこから、どうにも離れなくなった、、

 あんまりべたりとついて、、

 、、

 

 いくつかまた光線が合わさって、

 新しく、軽く、、

 その底あたりに、、色が揺らぐのか、なんなのか、、

 身体をどんどんと持っていって、、

 もう境界もなくついてしまうと、、

 だんだんに余剰の声が、、

 柔らかい拒絶に風を送るための声が、ここへ、、

 確かな線もないままに、あらわれてくる、、

 

 いくらでもまたいくらかでも吹きあらわされて、、

 表面のかきまし、を、それを、、

 長い時間に並べる、

 とそのこたえた表情の、、

 先端に溜まった色、

 まぶされていく色、、

 そこからずっと先の方へ浮かんで、、

 見える、色の定まらない第一声が、、

<1399>「まだない線へ」

 限りなくあらはれるひとつの目線の中に長いこと居た、

 どうか、、その長い居かたは、、

 どうか、重たい、、

 歩が、そのまま触れて、離れなくなっている、、

 どうにもはなすことが出来ない、

 

 その、働きの為方から、、

 どこまでもまぶされて、

 一点を見る、、

 見ること、

 もっと先の方を見ること、その長い視線の先に居ることを、幾度も、幾度も思い出だすのか、

 どうか、、

 振動して身体がそこに付いたままでいるのを、

 そこへ複数の線が混じっているのを、、

 なにとはなく眺めていた、、

 どうしたものか、

 どうしてこうやってあらわれるものなのか、

 

 私は静かさのなかで探りを入れた、

 一向になにも出来やらないところへ、、

 静かに眼を向けていると、、

 そこへ黙ったまま空気があいた、

 私がそれをはっきりと意識したものかどうか、、

 それは分からないが、、

 そのあいた隙間から、、

 一切のブレもなくわたってくる、、

 

 順に順に新たに、、

 身体がつけられてきて、

 声のあらわれ方を徐々に徐々に鈍麻させてゆく、

 それでいくらもこの長い線上へ、

 打って、打って、連なる、

 そのあいた隙間に、、

 なんの不足もなくだらりと大声が垂れかかること、

 遠のいて先へ、、

 

 異なる方向へ、、

 ばらばらにはじけて、、

 その音の四方のなかになぜかひとつだけの身体を提げている、

 どうか、

 どう打つのか、、

 身体がどう打つのかだけを、、

 長い線上が音もなく重なるところ、、

 重なってもうはっきりと直線は見出すことが出来ないまま、

 四方を、

 遠方をすぐに探りながらその跳ね返りを今は受けている、

 どう、

 どう、どう、

 、

 大掛かりなしかけのなかにその小さいかたまり、とその視線が途切れ途切れながら、無いもの、

 そのときはまだ無い方向へ、、

 見事に沈黙したまま、ずうと垂れかかる、、

 その方の、

 円の中へ、、いつからかの響きに乗せられているままなのかしれない、

<1398>「底を淡とついた」

 底を淡とついた、

 底を淡とついた手の並び、、

 行方を、

 たっぷり言い、、

 たっぷりと含んだものか、

 身体の先の先、

 僅かに眠っているところへ、身体を、、

 順に、湧き立たせていくところ、

 

 そこへ声が着いた、、

 どこまでも、境界が不明瞭なまま、

 順に入ってきて、、

 そのなかに陽の残りが、びいんと突っ張って、流れてきた、、

 それを見、・・・なんだ、なんだ、

 

 数々ぼやかしていく、

 数々の、、

 それがままならない、、

 常時立ちほうけている背に当たる振動が、、

 ざらざら、ざらざら、、

 あるいは鈍い、、

 あるいは分け入りようもない細かさを、

 ここへ、静まり返って伝えた、、

 初めからこのような仕草に、

 びんと、当たり続けて来たものだろ、

 それが、

 不明の領域へかえってしまうものかどうか、、

 それはひとつの仕草で分かるはずもないが、

 常時この粒の、、

 集まりの、圏内に、

 疑いもなく入っているだろ、、

 

 そうしたように、、ここへ手をつけて、

 つけて、長くなる、、

 探りの気配が少しずつおもいおもいの方向へ、

 流れて、次から次へ、

 流れて、、

 常時このかたまりの、

 吹き上げ方、、それに目を見張る、、

 どこからどう通し、

 どこからどうして、、声の着地の、、

 ざらざら、触れ通し、、

 目掛け、、動いて、

 当たり前に揺れてにじむ背、

 どれ、どれ、

 線がぼやける、、

 

 その隙間の一切にあなたも入れ、

 そうと、そうと、、

 じりじり不明になるあの流れに、、

 僅かに乗っかって、、

 ここへ、

 一切の背をしめして、わたって、、

 はやく、、その隙間へ、

 ここへ、まだ明りが溜まっていて、、

 なんと、なんとぼやかされた一遍の声、その延長へ・・・

<1397>「この困難はどこか」

 が、身をひろげ、さいわいな声のなかを、、

 歩く、、

 呼気のひとつひとつが高まって困難になっていく、

 その身体のなかで、

 ぼうとする頼りのない一枚の姿は、

 なにか、遅さというものを増してきながら、

 居る、、歩く、

 

 爆発的な膨らみの、

 破れる、破れる、、

 その音のそばに、

 静かに身体を置いておこうか、、・・・

 、どうする、

 連れてきている一切の、、

 膨らみを眺め、、

 運動に、

 ただただ各々の運動に、還ってゆくの、

 

 それを承知、それも分かられて、

 なお僅かな悲鳴の漏れ出す隙間すら見出せない、、

 どこか、、

 この困難はどこか、

 僅かに身の振れて動く、、

 

 まったくもって日の、その内部、あけらかんとした姿の内側に、

 次から次へと遅さ、、

 身体がとても絡みついてくる、、

 揺れて、、練られてくる、

 あれか、これか、音の全体というものなど、、

 まとまって響きひろがりながら、、

 どうした、

 困難とはなにか、、

 困難とは遅さがどこにも増してこないということなんじゃないか、

 どこだ、、

 

 まったく液がそのままに垂れてしまって、、

 誰か、彼か、分かるものか、

 ありたけの外側を受けてどうにか明りの、、

 その場所らしいものを見た、

 が、、身はまとまった遅さで、、

 そこが上手く照らされているのか、どうか、本当のところはよく分からないまま、、

 だらだらと垂れてくるようだった、、

 

 飛んでいた、、

 身体に合わせて、、流れる事、

 流れる眼の、、

 どこに合わせているか、

 それは次第、次第に、

 各々のなかで、遅滞してくるなかで、、

 僅かな交流の、、

 その響き方などをどう取るか、

 しかし不明の視線は新たな息の通う空間をまた曖昧に、なんとも言いもせずに確かめていた、

 どこだ、、

 ただ漏れ出て止まないところは、