<2993>「二重生活、その交代」

 どこに出たろう、

 あたしは、

 少し眠りすぎている、、

 どこから来たろう、

 あたしは、

 少し生まれすぎていた、、

 具体的な身体が、

 今必要な時間のなかで、

 少しずつ重なって、

 これは、

 ひどく不思議な形だ、、

 形から先、

 存在はあと、

 ひとつの言葉に先立ち、、

 からだが開始される、、

 からだは少し湿っている、、

 

 私が、

 僅かな空間を占めて、

 そこに、

 次々に太く、

 次々に声を足し、

 足された声は、

 状況をおしていく、、

 状況よゆるやかに流れてくれ、

 状況は急ぐ、、

 私のこの二重生活、

 私のこのテキストと、

 現実の社会との二重生活、

 もの書く人はみんなこんなものなのか、、

 私は、

 現実で何が起ころうと、

 平然とルーティンに復帰する、

 私をどこか人間から遠いもののように感じ、

 しかし人間でなければこんなことはしない、

 出来ないと思い直す、、

 

 あたしはあたりまえに、

 現実の存在のなかで、

 歩を降ろし、

 からだのよろこびも知り、、

 ただ歩き、

 ただ知らぬ間に集まってくる、、

 ひとつの意識のかたまりが、

 私のなかで、

 泡となりなになとなり、

 また肌へつく、、

 私には社会があり、

 社会があることなどまるで嘘のような、

 しずかな生の時間、

 ひとりの生のうごきがここにあります、、

 入れ替わる儀式、

 私は呼吸を替え、

 意識をかえているだろうか、、

 いや、

 そこはグラデーションに、なっているはずだ・・・