<2909>「別時(挨拶の気配をもつ)」

 あたしには、この、

 いくつもの時間の積み重なりが、見え、

 そこから、

 大層な身体と、

 名指される、、

 あたしは、ただ、

 水の行方を指し、

 私は、ここに浮いた、

 過去、ここに浮いた、と、、

 ひとりでつぶやいている、、

 透明な、

 ひとりの沈黙時、、

 あたしの姿がそれぞれ、

 場所ごとに、

 いくらか溶けていることをおもうと、

 からだは、

 深部まで行こうとする、、

 

 まだ、

 あなたは私の名前を、

 知ったことがない、、

 知らないまま、私は、

 走ったことがない、

 身体が、糸になって、

 千切れたことがない、、

 そのまま、、

 水をめくって、

 この過去の先に、

 おのれの姿があらわれたこと、、

 決して、

 間違えて出発するのではない、

 別の時間が、

 特有の、

 挨拶の気配を、持ってくるということ、、

 あとにながれて、、

 あれは解体の日々だったのか、、

 まず内室を作る日々だったのか、、

 からだからさらに先へ、

 さらに奥へ、、

 あたしの時間を、おろしていくことだったのか、、

 

 あたしは、

 からだばかりがほどける場所で、

 ここをとまどい、、

 ここをほうとひといきでほうり、

 小さく蹴飛ばしたまま、

 幾時間も、

 幾時間も過ごしたと思った、、

 この僅かの命、、

 命といえども、、

 どこへのびたらいいのか分からず、

 エネルギイが過剰であって暴れ回っている時期、、

 私の道に、、

 身体のアイデアをもたらしてくること、、

 遠い記憶の世界に、

 小さな水を通すこと・・・