<2843>「室と、底と、」

 さあ、穴についた、、

 私は、

 こんだここから少し、、

 壁の肌をもらっていく、

 いくついくつとさわっていく、

 そのとき、

 あたしの目の前にある、

 その風景、

 その様式、、

 あたしは夢の中にあった、、

 

 なにかがある、

 不安を、

 もっともっと、

 身体の底へ沈めて、

 深化しろ、、

 あたしは具体的に身体を見つめる、、

 どうぞどうぞ入ってこい、

 生きていることの、

 この異様なスピードに、

 我々は、

 気づかないように出来ている、、

 でなければあるとき、

 大きく驚いたりする必要もないのだ、、

 笑った、笑った、

 かげの道、、

 あたしはずっと隠れていると思っていた、、

 いやしかしむしろ、、

 目に見えない場所に、

 室を作ってきたんだ、、

 あたしは再びそこへ、

 現実から戻って還ってくるとき、、

 からだの発する空気が、

 まるごと変わってしまうのに気がつく、、

 

 だれ、だれ、

 そこの方で、

 私に声掛ける人、、

 私は、

 あなたが大切だと言われても、

 それは、どこか遠いところで、

 私には関係がないかのように鳴る、

 ひとつのぼんやりとした音になるだけだった、、

 なので、

 私は遠くを見て、

 ははあ、

 そうなんだね、と、

 ぼんやりした存在で応える、、

 あなたはどこにもいないのだろうか、

 液の中で、

 液の中のものたちの、

 出す音を黙ってきいて過ごしている、

 そこに私があるのだろうか、

 少し遠い、少し遠い、、

 あなたは視線を迎える、

 私は立っている・・・