<2840>「死んで、時間を渡してくれる」

 呼吸の粒のさわりが見えて、

 あたしはそれについていく、

 私はどこにいるか分からないから、

 これがどこか分からないから、

 包んでいたものは全て解体し、

 解体されてしまったあとで、

 私は呼吸が可能になったあと、

 どこに行くのか、

 どこに居るのかだけが分からないから、

 あたしは設える、、

 透明な室をあたしのために、

 私はその中で連打する、、

 ものすごくゆっくりと、

 私はそのなかで連打する、、

 生まれる響きに、

 私というひとりの人間が住む、、

 

 あたしはいつもここに粒が、、

 数粒落ちてくるように見え、

 あたしはそのなかから僅かにひろう、、

 書いてあることを、

 少し確認する、、

 一瞬で、

 全てが分かり、

 一瞬で、

 全てが変わってしまう、、

 私も溶けてしまう、、

 ひといきでからだを運び、、

 またこのなかへ帰ってしまう、、

 ねえ、

 どこにいるかは分かる、、

 それは分かるの、、

 しかし、

 ここにいて、なぜ、

 いちいちが、当たり前に可能なのか、

 それが分からなくなるよ、、

 こわいよ、

 

 それで、

 私はせっせと透明な室を作る、、

 あたしは死ぬ訳にはいかない、

 あたしは、

 あたしだけ不意のことで死ぬ可能性がないなどと、

 思い上がっていることもできない、、

 こわいですよ、、

 ええ、

 これはこわいですよ、、

 でもまた石を運ぶ、、

 時折ふっと息をつき、

 恍惚境へ、

 空を見て、、

 ときどきもっと前の時間へかえって、、

 またからだたちはたらく、、

 あたしは粒を見る、、

 粒はいくつか死んでいて、、

 私に時間を渡してくれる・・・