<2786>「圧倒と風」

 まったくなく、

 ほかの人々には当たり前にあるものに、

 圧倒されてしまうのだ、、

 しかし、

 圧倒されるところから、

 全く隔たって、、

 私の生活がある場所は、

 嘘みたいに綺麗な空気で、

 軽やかなのだ、

 確かなのは身体しかない、

 確かなのは風しかない、、

 私は、

 私にはまるで関係がない場所に立ち、

 風だけを受けている、、

 あたしもひとつの成分になる、、

 

 同じように、

 あたしは、あたしで、

 圧倒してしまうものを持っている、、

 周りの人が、

 言葉もなく、

 あきらかに引いている、、

 そのことが、

 静かな負い目になる、、

 私は少し黙る、、

 圧倒したあとの、

 空気が好きではない、、

 私が異常だということが浮き上がるだけだから、

 その道に長けていくことは、

 沢山の負い目を持つことだ、、

 だから吉本さんも耐えて、耐えてというのだろう、、

 

 私は、

 圧倒されたのを跳ね返そうとして、、

 地道に歩を進める時間が好きだ、、

 そしていつの間に、

 跳ね返そうとした、当初の意識すらなくなり、、

 ただ、

 風の中に出て、、

 この作業を黙々と延長していくことが好きだ、、

 身体の外ではなにものも圧倒されていない、

 私は黙って抱かれている、、

 私は、しかし、、

 圧倒されることを糧にするという、

 静かなずるさをたくわえた人間だ、、

 だから、、

 明らかに圧倒するものを持っているという事実を、

 ないものにしたがる、、

 しかしその自身の暴力性をも同時に承知しようよな、

 静かで、

 落ち着いていたらなにものも圧倒せない訳ではないぞ、

 そのうえで、

 それを承知の上で風の中に出たらいい、、

 全部がきかれている場所で、

 あなたは語ったらいい、、

 生命は恥ずかしいな、、