<2730>「ひとつの胎児として」

 あたしの胎児的な歓びと恐怖

 あたしの胎児語りの歓びはあたしの胎児の皮膚の割れのなか

 揺るがぬ性の形のなかへあたしは流れる入る

 胎児の液の興奮とあたしはいつだ

 泥に似た形であたしを撫でている

 水だ

 からだだ

 泥だ

 私は濡れるたびかわこうとする

 

 人がまっすぐ立っている

 あたしの胎児へ、そうして、声をまるめて、渡そうとする、

 あたしには、それは、声は、円だ、

 私はその円の芯の、

 濡れた響きを受け取る、

 それは、また、あたしの液の肌に紋様、しびれとしてきざまれた。

 

 あたしは、それをもってでた、

 この乾いた、皮膚の世界へ、まっすぐに、

 あなたの声はこのしびれの線をよく刺激する

 あたしは構える、

 ひとつの胎児として。