<2729>「原イメージ、音もなく水が垂れる」

 胚胎する声が、

 あたし、

 あたし窓のそばで、、

 そこが、液にうまり、、

 くぐもった音声が、

 次々に姿を変えるのを、

 眺めていたよ、、

 ああ、

 かんたんな声を漏らし、、

 あたしがまたその声の膜の中の、

 存在に戻ること、、

 つつまれている場所ですぐに声が、、

 あなたの柔らかさに重なる、、

 ひとつの夢の形、

 

 あたしはまだ水のなかにいて、、

 しずかな断片として、、

 この揺れのなかで過ごす、、

 あなたどうして、

 あなたそこよりほか、、

 声など、どうして、、

 ここに集めえられようか、、

 私の姿、形、

 どうして捉ええようか、、

 日々のだこく、、

 日々の刻みのなかから、

 だんだんと、、

 あなたの成分が、、

 あなたの匂いが、

 立ち上がってくるように 見え、

 これが姿、、

 これが私が外に見たいもの、、

 ながれて、

 ながれてついて、、

 しずかに液の垂れている、、

 あたしは吸いにいかない、

 ただぼうっとしているだけだ、、

 

 あたしには原イメージ的なものしか、

 理想としてはないのかもしらない、、

 そこへ入れかわり立ちかわり、、

 代替のように入る肉、、

 しかし私がほしいのはその肉ではない、、

 あたしがほしいのは原イメージだ、、

 そこではしずかな音楽も鳴っていない、、

 音のない滴、、

 まだ水になるまえのものの、

 存在が、

 いちいち私に知らされている、、

 そんな場所で過ごした、、

 私は浮かれていなかった、

 ここにくるとものがさらにしずかになる、、

 だれがいたか、

 そんなことも忘れる、、

 呼吸がする、、

 なびくあたまのものおとがきこえる・・・