<1856>「音のない呼吸」

 ひとのさわぐところへ、

 あるひとりの人の姿が混じり、、

 どこへか、

 何という呼吸の、起伏もないまま、

 静かに、面を、

 色づけている、、

 私がおういと声を掛け、、

 静かに振り向くも、

 そのときどきの泡が今、、

 溜まっているさいちゅうなのだ、ということを、

 ひとりで知覚する、

 そんな姿でありました、、

 あなたはここにある、

 変わったものと、変わらないものと、

 同じになって生き、

 同じになってさわいで、、

 ここに身体の波を生みました、、

 

 あたしはこの人がほうけるとき、

 過去の、

 下手したら点でしかない、、

 どこを泳いでいるのだろうかと想像する、、

 そういった想像を持ったことを、

 突拍子もないかもしれないが、、

 真っすぐに伝えると、

 そんな、と笑って、、

 私はどこにいたのでもないと思うけれど、、

 ひょっとして、ひとつも感慨を持っていないのではないかと、

 そう思うけれど、

 それは、ひとりでどこまでも静かになったに他ありません、、

 私もそう思います、

 どこまでも静かになると、

 呼吸が、音でもなくなり、、

 ただ知らぬうち、

 静かに駆けているだけになり、

 そこで驚くようになるのです、、

 

 私たちは、ここでも、火を見ていた、、

 巨大な、興奮の前で、、

 このまま静かにしていることを、いぶかって、

 しかし、

 踊り出そうにも、

 艶を眺めてほうと息をつくものたちに、

 今踊りがある訳もない、、

 時々、揺られて、揺られて、

 見知った人の、顔や、声、

 知らぬ人々の、笑みや、歓声に、

 まぶされて、

 私は正気と、踊りにかえる、、

 いついつまでも燃えているものと、

 思って、そこで、呼吸をまた、

 新たに生ませ、、

 その豊富なさまに、ひとり、またひとり、

 しらべ直してくる、、

 あたしはしらべにのり、

 あらたな表情を持ち、歩行する、眠る、歩行する・・・