<2625>「声は水に変化する(きっとこの声もかつては)」

 よくは知るべくもない場所から、

 僅かに漏れた、

 私はその音を、たしかにどこかで、きいた、

 ような気がする、、

 それは、果てのない、夢であったかもしれない、

 もしかしたら、私の知らない、、

 ずっと、昔のことであったのかもしれない、、

 ずっと昔のところで、、

 私は、

 その水の着地を、

 ひとしれず、

 ずっと待っていたのかもしれない、

 あ、

 あたりまえの皮膚が、いきする、、

 そのなかに、見留める、、

 あたしの、声の、かがみ、、

 

 谷底から昇る、

 無数の、声や、汗の、残骸、

 きっとかつては、これも、

 声だったに違いないと、感じる人々、、

 静かに耳を寄せてみる人々、

 なにもきこえない、、

 ただ、耳のなかから、かすかな風景が、

 頭の中に侵入し、、

 見せてくれる、

 私の昔の姿の、残りを、、

 あたしは掬う仕草をした、

 やさしく手の隙間から漏れていく、

 言葉が附着した、、

 しばらくふちゃく、ふちゃくしたままにし、

 水で、

 本当に、、水で流してしまった、、

 あなたなら、驚いたかもしらない、、

 どこまでも潜るのに、

 この、周りの水滴は、

 どこまでもついてくるのだろうか、

 肉体も、

 ひとつの水として、

 生まれ変わり、はじめているのだろうか、、

 この風景に、集められて、、

 淡々と、

 集まってくるものとして、

 これは、あるのだろうか、、

 

 私は辺りを見詰めた、、

 風が途切れ途切れに、

 私の立っている場所を教えながら、

 その表面の水を、

 仲間に加えていく、、

 あたしは簡単な印として、

 自身を、しばらくそこに立てている、、

 あ、

 なんだか当たり前な、、

 一連の光景は、

 かわいたり、はじけたりしている・・・