<2512>「『機械人間』~アジアンドキュメンタリーズ」

 

asiandocs.co.jp

 

 15分弱の短い作品だ。

 

 場所はバングラデシュのダッカ。

 肉体労働に従事する人々の、独白をバックに、その労働のさまが映される。

 

 その単純な繰り返し。うんざりするほど、はてしない繰り返し。

 身体がもたない。怪我をする。治ればまた復帰する。

 

 機械にさせられている、という意識。

 機械より上手く働いている、という意識。

 

 無限にも思える、単純作業の繰り返しは、人間の頭を空にする。

 うんざりする人々のもとに、労働の響きだけが届く。

 すると、それは音楽になる。

 誰かが歌い出す。

 私も続く。

 彼らも続く。揺れる。

 

 機械化していることの無限の興奮。

 連帯。

 汗をかく。

 

 かわききった音楽よりもう気持ち一枚かわききった労働の音楽。

 それがあるので、私は、心底うんざりするというその感覚を共有しながら、同時に興奮し、好きで是非やりたいとは言わないかもしれないが、この日々の単純労働の絶望的なよろこびを想う。

 

 今のところアジアンドキュメンタリーズで一番好きな作品かもしれない。