<2495>「『もう一度生まれる』〜場所と親密になる方法」

 お風呂の清掃がメインの映画。珍しい。

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 池袋のシネマ・ロサでは4月7日まで公開みたいです。どうぞ~。

 

 おふろの国という、実在する銭湯が舞台の映画。

 私も、お風呂の掃除を仕事でやっていることもあり、清掃員さんの身体に共鳴しながら見ることが出来た。

 

 お風呂掃除って不思議なもので、仮に例えば、

「今日はここやんなくて良いよ」

って言われたとしたら(まあそんな日はないのだけれど)、よっしゃーって喜ぶと思うし、ということはそれなりに大変で面倒くささを含むはずなんだけど、いざ掃除を始めると、リズムも手伝ってなんだか無限に興奮してくるところがあって。

 

 毎日毎日何度も何度も同じ所を掃除していると、その運動を通して、興奮も手伝ってだんだんその場所自体に憑かれていくようなところがあるんだよな。

 

 そういう、場所と親密になるというか、やっているうちにだんだんのめって憑かれていくような要素が、毎日の掃除にはあって。

 

 それで、この映画は、そういう、ある意味で憑かれた人々の姿が随所に描かれていた。

 配管、ろ過装置、風呂の栓、タイル、ブラシ、シャンプーやボディーソープのセット、鏡。

 健一さんという、メインのおじさんなんか、掃除しているときの眼が明らかにキマっていて、それが良かった。

 

 一個一個の物とか、場所全体、その場所が持つ音とか、匂いとか、空気とか、そういうものに対するフェティッシュが至る所で炸裂している映画で、ちょっといかがわしいものを見ているような興奮の覚え方をしたり。

 

 お風呂の魅力と同時に、お風呂を掃除することの無限の興奮というものを丁寧に伝えてくれている映画だと思った。

 

 あと、おふろの国は立地が最高ですね。川沿いですか。あんなところでお風呂に入れたらそれは最高だよなあと思う。