<2429>「西索米~アジアンドキュメンタリーズ~」

 人を送るって何だろうか。

 

 

 台湾の西索米(シソミ)は、死者を送る大衆楽団。

 見ていて驚くのは、とにかく、エネルギッシュで、タフで、明るいこと。

 彼女たちは、気分を鎮めるのではなく、高めて現場に向かっている。

 ご飯を移動車のなかで食べるしかないぐらい時間がなくても、墓地の住所が分からなくて出前が届かなくても、明るく笑い飛ばしている。

 

 しかし不浄の世界という偏見もあり、大変なことも数多ある。

 移動が伴う仕事柄、家族に付き合えなくて申し訳なく思うことも。

 

 雨の日も風の日も台風の日も、休むことはできない。

 給料はそれほど悪くないが、決して沢山儲かる訳ではなく、きついので人気もない。

 

 けれど、彼女たちはこの仕事をやる。それはなぜなのか。

 死者を明るく見送る。それはなぜなのか。

 

 演奏していて、悲しければ一緒に泣き、

 遠くまで歩かなければならなければ一緒に歩く。

 それは彼女たちが何を一番大切に考えているからなのか。

 

 彼女たちが仕事を終え、晴れやかな顔で車に乗り込み、皆で歌を歌って帰るシーンがさわやかで美しく、このドキュメンタリーのなかで一番印象的だった。