僕とあなたは暗所に居ました、、
このなかで、
なにやらカードだか、おもちゃだかを見ていて、
ここが暗所なことを、
気にも留めませんでしたね、
あなたのお母さんが、
静かに台所で何かをしている、、
僕はその背中を、
遊びの熱からそっと逸れるたびに見つめ、、
ああしてああ、静かに立ち続けていることを、
少し不思議に思うのでしたが、、
あれは今思うと、
仮の場所だったのかもしれない、
あなたは小学校に少しの間だけ居て、
しばらくするとまたいなくなったのでしたか、、
小学生の時の私に、
一緒に遊んでいる友達が、
もしかしたら仮の場所にいたのかもしれない、
などということは、
考えつく訳もないのでした、
あなたはここを、
仮の場所として体験していましたか、、
あなたは静かですね、
もう少しはしゃいでいても良さそうなものなのに、
だって僕たちまだ小学校に入ったばっかりな、
そんなぐらいではありませんでしたか、、
あなたが今どこか、
他の場所で携帯や、
本をひらいている場面に出っくわし、、
私があのときの暗所の話をしても、
あまりピンと来ないときに、
ざわざわとするこの場所はどこでしょう、、
ちょっと同じ場所に戻ってみませんか、、
ただ同じように、
家が連なっているだけだとは思いますが、、
人間が通らなければならない線を、
二本か三本、先に通ってしまった、
そういう顔をしていましたね、、
今でもそれは変わっていないのかなあ、
私にそういった必然の影が差すのは、、
もっと後だったんですよ、
無邪気にはしゃいでいた日の私、、
それがこの身体のどこかに沈んで、
あなたへの通路を作っている、、
不思議ですね、
ここはただ家が並んでいるだけです、、
少し線の上に重なってみましょうか、
私はあなたが、
この場所にまつわることを、
この場所が仮の場所とは思っていなかった私と比べ、
少しだけ保持しているのを、
涼しいことと思いました、、
あなたは、私も、
そのときの、母の背中を憶えているような気がする、と言いました・・・