<1957>「邂逅」

 あれは声をタガエテ、

 まっすぐに、ここへ、絞られてくるのだ、

 誰か、

 まっすぐに歌っている、

 身体をタガエテ、、

 ただ縦に響け、

 そこにはえるらしい時刻の、

 まとまりのなかに棲み、、

 粒ひとつで回転している、

 ねえこちら、

 ねえこちらを向いて、ほら、

 ひとつの調子、

 私はどこを差している、

 あれはどの角度から響いている、、

 

 ぽつんと置いておかれたね、

 いくつも太陽を作って、、

 裸足で来たね、

 いいえ、あたしはニューバランス、、

 どこから来た、

 あたしは少し緑色をした、

 ただの塵から、

 少しだけ歩いて来た、、

 私の小さな粒のまわりにある、、

 この空気に、

 少しだけ会いに来た、、

 目的だけを持って、

 なんとはなしに流れてきた、

 この場所はどこだろう、、

 そこにはあたりまえな、私の生活があるというだけだろうけど、

 この場所は、

 私が生まれた匂いがしないということは、、

 新しい場所だ、

 だれが静かにこの空間に触れているのかしら、、

 エンジンがあたたかい、

 生まれたばかりの雲が、、

 遊びはじめた人々が、

 野球のユニフォームが、

 なにもかもあたたかいので、

 私はまたここから生まれてくるように思う、、

 

 どなた、どなた、、

 いえ、いえ、あなたは知らないけれど、

 どうして、類縁でもないのに、、

 そこで、

 あなたの声がするのかしら、、

 それはあなたさん、

 それは私が、あなたさん、

 あなたさんから生まれた過去を、持っているからなんですよ、

 私は粒です、

 会いに来たでしょう、ほら、

 掌を持って、、

 あったかいから、時刻に、

 静かにその手を、触れてきたんでしょう、、

 響きが、

 集まって、あなたさんが、ながい時間の中、生まれた日・・・