<1946>「古い声の膜は」

 探してくれ、

 今そこに挟まって、あふれたままになっていること、

 探して、

 遠くを見て、

 今そこにさわぐものとしての、

 この大きな身体を、

 案内してくれ、、

 あたしは身体が進み、

 どこを見ているか、どこを探りつ進むのか、

 私はここの呼吸なのか、

 などと、、

 静かな時刻に冷静に触れていながら、、

 私はうるんだ、、

 ここから自身が滑り、

 自身が湧いて続く、、

 ひとつの印になってきている、

 

 誰がその隙間をアけにきたんだろうか、、

 私は、

 透明な入口に立ったまま、

 生活の感触を掴まえて、、

 ひどくここへおちてくるのだ、

 なにが落下した、、

 落下したままのひとつの粒、、

 私の手に乗り、

 古い声を出して、、

 あなたは剥がれてきた、、

 すばやい生きものを、

 全身で捉えていながら、、

 あなたは慎重に、古い声で、生まれてきた、

 ああ熱が出たな、、

 ここから得体の知れないマアクが、

 ぞろぞろと出て、、

 あたしはただ風が通る音を豊富に味わうだけだ、、

 先に来たな、、

 てらいもなにも姿になり、、

 そのまともな回転のなかに来た、、

 

 あたしの印の液だ、

 わあと驚かれながら、

 どこまでも普通人のように過ごそうとする、、

 どこまでもその光るじはじはとした線の、

 なかの響きをはっきりとつかもうとする、、

 あたしは軽い、、

 この風の通る音すべてに紛れられるぐらいに、 

 軽い、、

 そこから剝落した、、

 なにだか不安定な声のリズムが、、

 あたしの自のなかで鳴って、、

 いや、、

 そのぼやぼやとした意識のなかに棲み、、

 知らないものの拡大を、、

 ただもう日常時と同じ地平でつかまえる、、

 ただもう底で共通のうみに溜まり、

 ほうと合流の息をなす、

 ほうと時刻の線の、振るえてのびるところまで来る、、