全ての音が止まって、
私の響く音だけが続くところ、、
通路は暗く、、
ひとりで、あたたまり、嬉しかった、、
「私は、どうしてここまで来て、やわらかくなっているのだろう」
戻って来る人の声を、
身体にいくつも張り、、
子どもの頃の、
道順が抜け落ちた、点の記憶、点の旅、
地名も知らない、
どこのなんというところなのか、手掛かりがなにもない、、
そこへぶつかるあてもなく、
どこかここいらへんだろうなあ、
という、見当だけつけて、、
ふらっとそうだと思う方へ、身体を流して行きたい、、
多分、
まるで地理的には関係ないだろう部分が、
あちらこちらでくっついて、
それはひとつの場所ではないはずだが、、
ある日、なんのきっかけもなく、、
その場所のひとつに出会い、
ああ、あ、
と思うだろうとき、
はたに人がいてもいい、いなくてもいい、、
あ、ここは点の記憶のひとつなんですよ、
どうやって来るのかがまるで分かりませんでした、、
と言ってみるだろう、
へえ、とか、はあ、とか、、
それは困ってしまうだろうこと、
困ってしまう人の気持ちも分かるから、
ちょっと私の方でも笑ってしまうだろうこと、、
ある日、私はキャッチボールをしている、、
相手の放った球が、
私の頭上を遥かに越え、、
あ、ごめん、という声を背に、
転がって行くボールを追いかけている時間は自由だった、
そんな訳はないのだけれども、
繁る森や、くさはら、風の中に、
このまま紛れて、、
私は長い時間そこで、
人間でなくなる可能性だってあるぞ、
と思っていた、
もちろんこんにちまで人間でなくなることはなかったから、
それは間違いなんだけれども、
だからあれは外周からの語りかけだったのかな、
と思ってみたり思わなかったりする、、
朝、目が覚める、
どうして私はここにいて、、
私はまた一日を、ちょぼちょぼ作っていけるのだろうか、、
そしてまた増えて、、
私が複数になっていくこと、
私たち、ではなく、私が複数になっていくこと、、
光のいりがとても綺麗であることを、思う、、