<1271>「無音の水の中に」

 一切彫り込まれていて、

 瞳も通すわけでなく、、

 全体像が、身体のなかを駆けて、駆けるのでもなく、

 それは、 ひとりで彫り込まれていた、、

 こんなものはどこから来た、

 こんなものはどこから・・・、

 

 奇妙に、微笑みで、

 奇妙に、遊びだった、

 いつしか このかたちだけを取っていたのだ、、

 座った、

 座りの良い、

 なにか、、無音が、無音から始まったような、

 (そんな気配がする・・・)、

 しばらく、無音で、驚いているような、、

 沈潜の人、

 奇妙な出で立ち、、

 水を一身に受けて受けて受け続けて来たような、

 (そんな気持ちがする)、

 それは、それは、

 

 それは、居た、、

 縦横に滑らかな線を置いて、

 居た、、 

 そこには沈潜して無音のひとりがいる、

 この人は駆けて来た訳ではない・・・、

 

 それは、占めた、、

 一切邪魔と思われずに、、

 あれは共通の、ひょっとすると、無音の空間に、

 訳も分からないまま立っている、

 じっさい どんな身振りも伴わずに、

 ひとりで、 微笑みで、、

 微笑みを垂らし、、

 当たり前に占めた、、

 

 きっと、 古い色の、そのまた裏側に、

 ぽんと飴色に光る、、

 それは微笑みによく似合う色だ、、

 輝きを、

 それは日々の中を絶妙にくぐる、

 明らかな声を立てないまま、

 居た、

 一体どこをどう・・・

 どこをどう削り込まれたら、、

 あなたのような無音性はひらく、、

 駆けない、

 

 駆けていない、

 それだから無音の、

 日々の人、、

 身体から時間をかけて垂れていく液を、

 見て、見て、、

 流れているままの、、

 流れたままになる身体、、

 いちど、またいちど、彫り込まれて、、

 黙って座っている、、