こいツァひとりでに現れ出でたような顔をしている。
来歴が知れない。
ほうり込まれたのだな。
ほうり込まれたのだな。
そうに違いないが、うんともヤとも言わない。
誰だろう、誰だろう。
水色の静かな服を着て、じっと時間のなかに経っている。
軽やかだな。
自転車の音がする。
こんな目は初めて見た。
とっくに逸らしてしまえば良いものを、訳も分からず、じっと、じっと、飽くこともなく眺める。
お前さんはもっと長い時間を前提にしているような気がする。
だってあなたが知れないもの、、
こうしてひとつの時間のなかにいるとはとても思えないもの。
柔らかな跳躍様の姿で去るとき、
柔らかな瞳の仕草でそのままに去るとき、、
どこへ向けて声をしたらいいか分からなかった。
自然にほうり込まれることもあるものだな。
お前さんのことはよくは知らないけれど。
お前さんが日常のなかの隙間を窺っているとは思わないけれど。
ああ気持ちが良い。
巡り、巡り、巡って、
いつもの場所、いつもの場所、
よく声のする、よくよく声のする、
ひらけた道、通りの涼しさ、
ここはただの草の集まりだったんだ。
ね、あなたはひとりでだったんだ。
どこかから言葉をもらうかもしれない。
不安がし、そのまま物事を留めておこうとする、
しかし心配ない、
これはまた同じ繰り返しのなかに入ってゆく、
刻々と重なり増えてゆく、
それで長い時間を追った目が、
ほうり込まれた目が、、
別の時間でひとり沈黙しているかもしらない。
音に音が混ざり仕草が仕草を招び、大音声(おんじょう)の広場にこうして立っているとき、
静かに、陶然として、あの隙間の風景を懐かしくおもおう、
めまえが揺れている、
どこへ向けたら良いか分からない。
長い長い時間をかけて、、
ひろがる道のなかにいて、
ひとり、
身も透き通る、、