<1149>「ひとすじの風の中を」

 陽を触れる。

 鋭敏で、鋭敏で。

 丸みを帯びて、陽光で、二人で、意識で、晴れで

 気まぐれが後の世へひとつ、ひとつと歩を掛ける。

 そこに花が咲いている。

 ありふれた日の中に過去からずっと伸びている。

 ひらく。

 歩幅と、湿り、軽やかさ、

 後はただの香り

 後はただの煙

 前はなく、前はなく、ためらい

 いずれか老境かも分からぬ。

 

 陽光のもとで! ひそかに気体の振りをして、

 あるいは駆け、あるいは駆け、

 満ちて満ちて 満ちて 倦怠を

 全き時間、

 虚ろな四足歩行へ、

 あなたのいたところへ、

 

 ここで音楽もないまま

 流れ 流れ 華やかにちぎれ、

 ふり、ふり、ふり、舞い、

 吹き上がると、

 あとは透けて見える。

 あなたがいなかった頃が、当たり前に透けて見える。

 

 ある行為の重み、

 昼間のしまらなさ、、

 長く続くかけあい、

 瞬間と、 かけくら、

 子どものような汗、

 

 いつなんどきなん果てるともしらず遊、歩行と、

 磨き抜かれた絵、 溜め息と振舞い、

 階段と息、 階段と・・・

 

 あとで一日が何かを間違えわたしのところへ駆けてくる。

 昼間だけ抜いてしまう。

 あとは降(ふ)らせ、降(ふ)らせ

 その勢い、

 その勢いだ現実のかけくらよ、

 あなたはあまりにも速い。

 

 動いて 動いて 動いて

 見えない、見えないと言わる

 その葉が、つむじが、土の付着した洋服が、

 あなたの駆け足のなかに紛る、

 果てしない匂いと、

 尋常様の陽のなかに眠るあなたを、

 

 われさきに、われさきにゆけ、

 遊びは速すぎるから、

 過去の跳躍ばかりを受けてもいられぬから、

 そこに風をアけ、

 ひとすじあなたの子どもが過ぎろ