<1090>「墓石の傍で」

 昼間 墓石

 昼間 墓石 それは、あなたの仕組み、

 あなたが仕組まれたあとで、

 ただ水が流れているところで、

 おとがなにも譲らず、

 過去に笑みを浮かべながら持ち上がってくるところ

 過去は吹かない、

 墓石が揺れている、

 墓石がわれさきにとたわんでくる

 行列は笑う 風が吹く

 日毎に呼吸を残しておいたのだが、

 それでも風は吹く

 わたしはおともなく集まる、

 たまにはこうして墓石になり、散っている

 えがたいもうぞうのなかえ、黙って進む、

 晴れている、

 墓石のない風景に、晴れは勿体ないという気もする

 おとがする

 場合によっては雨が降るらしい(嘘だろうと思う)

 車は歌う、

 ただの景色のためと、晴れのため

 たわむ、またたわむ、

 声がする

 ひとは生きていると、声がするらしい