<1019>「おぼろげな肢体の夜に」

 一方向、一方向、

 げに、げに、おもしろきことかな、

 震えたのゥ夜(よ)のゥ、

 おまえさま、軽々と言葉を寄越してくれよィ、

 その葉、ひきりなしにたづぬ、あたらにたづぬよゥ、

 これから宵、

 それにそぐう態度で、

 いくらもうち進んでゆけよ、、

 突然に跳ねィあがるあなたのことだから、

 小(ちい)そくかろく、言葉をほい、と寄越してくれよィ

 なに、なに、疑わしいことがら、

 ほおぺたを静かに照らす灯(トウ)、

 おぼろげな肢体(・・・おぼろげな、肢体・・・)

 おぼろげな肢体に沿い、這うゆるやかな腕に、

 あなたの言(こと)、そのままを乗せていってくれる、

 さあさ、

 あんたがたがことさ、

 うたぐるよりもひそかなそれら、さわやかな熱に、

 あなたの身体(からだ)まるごとすまわせてしまう、

 その大胆な、

 その無音な、

 仕草あたしは愛している、

 それに、

 ひきりなしに続くまるごとの空間そのものも・・・、