<966>「(火、)どうもあたしは人間らしい」

 上得意のえみ、すみやかに絡まると、あたしは知りうる、あたしは知りうる、

 ただ呼吸が先で、あなたは後だと

 モニュメントは華やか

 あたしを名前ごと覆う

 あくまで旅の人(ひと)

 あくまでも旅の火の粉

 ここからは雫

 ただ当てずっぽうに連なる、連なる

 ふざけた仕草(冬は冬でこごってしまったから)

 あらたに窓、あらたに間違い探し

 狭間にたれかから漏る、ささやかに涙の漏る

 俺は準備もなく踊る

 戸惑いと、気持ちいい

 朝にさわやかに露(つゆ)、それとして伝ってゆく、

 火の粉は踊る 躍りあがる

 あたしの指先を軽やかに出でて

 むすめうたい、みる、うるわしき線

 舞台上の輝き

 軽やかな輝き

 あくまでも憂鬱とその拒否とを過ごす

 どうもあたしは人間らしい

 その野生を香って出でた、どうやら人間らしい

 ひとりで笑いたくなる

 ひとりで軽やかに笑いたくなる

 湯気がもちまえの温度で、憂鬱を解消してゆくから

 あたしはまだヒのなかを静かに続くらしい

 かけらがそれぞれの時間を持ち、今当たり前に輝いていると、

 ついにはこの濃ゆい表情以外を忘る

 そのどこへも渡る どこへも染みるひとりの運動のために

 たゆまぬ朝のささやきがある

 赤らめ、囲い、ただ鳥の針としてこの時(とき)は回る

 あたしで良ければまた小さく触れてみたい