<878>「白い花の起立」

 私は目であるための、日々の言(こと)を過(ヨ)ぎる・・・。

 誰かに、ひそやかに触れている、あれは顔の、懐かしみ、の、確かなひと日(ヒ)・・・。

 空気のなかで饒舌であれる、の、夜(よ)。思いを響き、通し、またたくマに流る。

 輝きと、それら一切。容赦なく振りそそぐもの。

 現実の風景に、ひらいた、真裸(まはだか)の手で、触れている(手はマハダカ以外であり得るのか・・・?)。

 まともな日差しのなかに、小さく手を触れている。あなたは表情以外のなにものでもなく、あなたは真白な空(そら)、以外のなにものでもなく。私は、

 「眩しい」

 と言う代わりに、頬(ほお)を静かに動かした。あなたはとても落ち着いた、願いの姿をしていた。

 あれは、多分暑い日であった(誰にとって・・・?)。

 よくよく考えられた、真白なテーマパークのうちに、ひとことずつのきらめきが揺れるようだった(そして、夜・・・「よ」・・・は、私に手を振ってくれているように思えた)。

 その実、空洞の、あるいは音(おと)の、鋭い、しかし円環的な、その、凄まじい起立が、私に出会うと、私の心の中には、流れるひとつぶ性の華やぎが映っている。

 急速にひらく運動と、閉じる運動とを、まるで同じものだと考えられたら・・・。いや、それらの同居を(決して混ざり合わない)、言祝ぐ準備が整っていると夢想したとすれば・・・。

 私はおそらく、まともな噛み合わせのなかに、一枚の花を置いておこうとするだろう・・・。誰の手にも澄み、通(かよ)ってゆく、ただ一枚の花を・・・。