<793>「種の間の夢」

 時間は確かに、腹の中で今も乾いていて、相当にしぶとく忘れている。

 私はリズムをやめよう。私は飛び散る。私の後ろに急旋回する音が貼りつく。

 楽しみは全て空腹へ譲る。空腹はリズムである。空腹はふざけている。食物の匂いで楽しみを忘れる。

 激しさはない、一度で決めた。激しさはない、基準がなかった。謎からくる拡がりはだいぶんにやラかい。

 過程としての着座。しかしあらゆる角度、その時間、消えたリズム、から言うと、一瞬とて過程らしく見えたことはない。全部含んで、有難いほどメチャクチャに散っていた。

 自然 その落下して、のち踏んで通る。しばらくして裏側に自分も成ったあト、いつしか種の眠りに落ちていた。

 種そのものは夢を見ない。己が何であるのか知らない。代わりに、腐って死んだものが、種の間の夢を見る。おそらく長い。しかし死後のささやきは短い。