<693>「他が他」

 ものの数を考えてみていつになく嬉しく失敗しようと、朝になり日が差し、まだわからない形今無し、ただの器、うつわ、うつわ・・・。そうだ、

  誰に傾けたら良かろ?

 居続けて新しい。跨がなくて可愛らしい。皆、一度ペタペタと貼り合わせてお互い表情を徐々に、徐々に崩してみないかい、などと言ってみる。集まり、割れ、集まり、ほつれ、わけを話してみると、すと通る。誰が誰へ、他が他へ、たがたえ渡りながら美しさも知らないでここまで嘘を込めつつ進んできたのだ。ならば、記憶のことで小さい思いとともにかき乱されることもない。

 余剰に全てを見て、かつて余剰であった試しがないと、それだけが継続的に聞こえてくる(どこから?)。これは、大変な質問をしたことになった、誰確かめる訳でもないけれど。それは、大変心地の良い質問をしたことになった、誰訊ねる訳でもないけれど・・・。