良い行いをすれば、当然良いことがあり、悪い行いをすれば罰が当たるなんて、人間の願望を詰め込んだ幻想にすぎない。
悪いことをすればちゃんと罰が当たってくれるほど、世間は甘くない。世間は、人の悪事などには無関心である。正確に言えば、
「もし自分があれやこれやのことに巻き込まれたならば・・・」
という想像の下でのみ、他人の悪事に対して関心を働かせるだけである。
悪いことをすれば罰が当たるなどという考え方は、誰が編み出したのであろう。戒めの言葉のような顔をして現代には存在しているが、そもそもは、悪い部分を抱えた人間が言い始めた、苦し紛れの強がりだったのではないか。
「私にもちゃんと罰が当たるはずだ」
という、精一杯の叫びだったのではないだろうか。罰なんぞ当たってくれやしない。そんな悦びは用意されていないのだ。