<2799>「怪物への衝動と、近くに来た人を捨てること」

 あたしただ人間の、

 呼吸の下まで来ただけなの、

 ねえ、

 だましたっていいの、

 だましたっていいのよ、、

 ただ、

 だますときには、、

 あなたは相手をまるごと受け止めるという覚悟がなければダメなの、

 なるほど、

 それだから私はダマさないでいる、、

 そんな覚悟は持ち合わせていないから、

 そんな大袈裟なことではないと周りの人は言おう、、

 それはそうなのだろう、、

 それはあなたたちのあいだでは、

 それでも私にとってはそうなのだ、、

 

 私はあなたに深く傷を残したことに、

 気がついてはいた、

 うっすら気がついてはいたが、

 この頃身をもって確信することになった、

 軽はずみでその後も近づいていたのが馬鹿みたいに思えるほどに、

 一番「話せる」相手であるというだけの、

 単純な理由で接近していたことが馬鹿みたいに思えるほどに、

 本来なら、

 あなたが声を掛けてくれる以外に、

 私がするべきことはないはずだ、

 私は待つことしか選択肢がないはずだ、

 なにもないことも、

 なにかがあるとして、それが悪い知らせであることも、

 全てを待つことしか出来まい、、

 

 あたしはあなたの求めに応えなかった、、

 だからそれは当たり前のことだ、

 私にはダマせなかった、、

 何をダマせなかったか、

 これはザンゲではない、、

 私がどのように道を選んだのかということを言うだけだ、、

 私に可能性があったかどうか、

 それは別として、、

 私があなたの求めに応じたとする、、

 そうしたら、

 いまのこの、

 私の成立はあり得なかったと思う、、

 そんな未来のことが、

 過去のまだ若過ぎる私に見通せたはずは、ないと思うが、

 私はこの今の、

 私が成立しない未来のことを、過去のとき、おそれた、、

 だから、

 私はあなたには応えなかった、

 そしてそれは、

 私があなたと出会う前からも、ずっと、

 近くに来た人に対して、

 繰り返してきたことなのだ、、

 そんなことはないだろうと思っていたが、

 私には怪物になりたいという衝動と、

 抜き難い執着とがある、、

 その力に運ばれて、

 私は近くに来た人を捨て続けてきたのだ・・・