<2641>「存在しない場所に生まれたこと」

 あたしは簡単にこの場所へ出たのだろうか、、

 う、

 どうでしょう、、

 はっきりとしたことは分からない、、

 そう、

 例えばあの人は悲しがっていないのかも分からない、

 私は存在している、

 しかし、

 存在していないという仮定で、、

 物事に対する一応の答えを、

 いくつも持っていることに、

 たまに驚く、、

 

 曰く、

 私は存在しないはずであるのに、、

 何故愛されたりするのだろう、と、、

 私は、

 愛してくれる人を否認するのではなく、

 その矢印の先の私の、

 存在を否認する、、

 私はいないのだ、

 それをあなたも思い出してください、

 とでも言うように、、

 そうか、私はいないのか、

 いないと感じ始めたのはどこぐらいからですか、

 そうですね、

 小さい頃、

 川のそばをひとりで歩き始めた頃から、、

 小さな転校生、

 またすぐ越してしまって、

 おそらくほとんどの人の記憶にも残っていない転校生、、

 あなたはその不在性によって、、

 私と近かった、、

 私と近しい者に感じられた、、

 私たちは、存在しないから、、

 この、

 まにあわせの何もない、、

 がらんとした、

 薄暗い家でふたり、、

 息を潜めて、、

 どこかにいるはずの大人の、不安の膜の中で、、

 お互いのお気に入りの、

 カードゲームのカードやらを、

 眺めているのですね、、

 

 お帰り、今日はどうだった、、

 私は、

 私が存在していないことを、、

 いよいよ強く、確かめることになりました、

 などということを、

 どうして言えたろう、、

 こんな、

 種をどうして明かし得よう、、

 あなたは私を愛する人か、

 ならばやめなさい、、

 私は存在しないのですから・・・