<2642>「根拠でしかなくなるぞ、こわさ」

 より内部へ、

 あなたは上手くなったな、、

 例えばあなたに声を掛けたとしよう、、

 それによって、

 あなたが嬉しくなったとしよう、、

 しかし、わたしは、

 どこかで嘘の意識を抱いていて、

 それならば、

 ここで何も言わないことではないか、と、

 考えていたりする、、

 

 あなたは記憶の断片として所々に挟まったものに、

 溜息をついていくしかない、

 それを私に伝えたとして、

 一体何になるのだろうと、

 感じたろうと、思う、、

 私も、

 そういう断片をいくつか持っていたから、

 一人で生活してもいない頃から、

 ずっと一人で生活しているような気がしていた、、

 ある若さのなかにいて、

 若いというのは、空白、、

 何も定まっていないという、

 何をしても流れていくという、、

 そのために、

 すべてが冗談で、、

 すべて果てしなく笑えて、、

 次の瞬間には、

 跡形もなくなっていそうな、私の身体、

 それが、

 段々根拠しかなくなってくる、、

 あたしの生活に、密接な部分を、

 全て取り外したら、と仮定してみる、、

 うんと若い頃なら、

 それも冗談でおもしろかろう、と思われる、、

 そのことが、今は、

 冗談でなくなっている、、

 良い意味でも、悪い意味でも、、

 これらから、

 離れがたくなっている、、

 私は歴史になり出した、

 冗談でさわってきたものも、全部、

 本当になりだした、、

 そのことで、あるとき、ふと、

 異常に興奮するときがある、、

 おい、いろんなものに触れておけ、

 となぜかつぶやく、

 先人の響きの輪郭が、

 色濃くなってくる、、

 

 ときどきこわい、、

 私は、

 この私でしかあり得ないということが、、

 私が剥がれたあとも、、

 痕跡を残すだろうことが、

 興奮とともに、こわい・・・