<2272>「『わかりません』を見ました。」

 池袋シネマ・ロサで映画『わかりません』を見てきました。素晴らしかった。

threefivethree.hatenablog.jp

 

 この方のブログを読んで、どうしても見たいと思いました。

 以下、感想と言うか紹介と言うか、書き殴りを。

 

 この映画では、大きな事件ひとつ起こる訳じゃない。

 でも、現実の些細な場面の、そのひとつひとつがとても切実で、目が離せなくて。

 ここで生きていることが一体なんなのかよく分からなくて、これで良いのか良くないのかどうかもよく分からなくて、これがどこに続いているのかも分からなくて。

 こんなことしてて、一体どうなるというのか。

 でも、絶対に役者だけは手放さない。

 何で、どうして、どうしても手放せないのか、それは、分からないんだ。

 

 別に、夢を追いかけている訳ではないのだと思う。

 だって、これが、今のここがどうしてもの現実で、これ以外の現実は考えられなくて、でも、当たり前だけど社会は、その自分の気持ちに沿って作られている訳ではないから、いろいろなところで傷を負う。

 じゃあ、役者という現実を手放して、そういった傷を負わない現実にすっと移ったらいいではないか、と思ったりもする。でも、そんなものは現実でも何でもないんだ。

 だから、役者という現実は、死ぬまで手放せない。でも、役者という現実を何故手放せないか。それは、やっぱり分からないんだ。

 

 そういう分からないものに引っ張られて、訳も分からず、とりあえず今ここまで来てしまっているという、その分からなさの不思議が、はっきりと分かり過ぎて、胸が一杯になり、苦しいのか、嬉しいのか、悲しいのか、楽しいのか、よく分からないまま泣いていた。

 

 分からない、分からないなあ。

 どうしてこういうものに引っ張られて、死ぬまで離せないのだろう。

 でも今ここに居て、あなたも私も生きているじゃないか。

 だから今を笑っていけばいいんだ、分からないけど。

 

 本当に素晴らしい映画でした。