<1954>「瞳に身体を溜めて」

 平面から、

 まくろな姿をあらわして、、

 私はそのかたんとした長い響きのなかに、、

 紛れる、

 あ、ここで生まれたことは憶えていない、

 ここはちょっと前まで森でした、、

 どこからきこえているのか、

 それは森でした、

 静かに染みていく、ただのあなたの声に、

 浮、浮、浮、、

 あれまたほどけて、すごい速度で、、

 生まれてしまったらしいな、

 あたしははしゃぎの、、

 その、リズムのなかにいますけれども、、

 私は過去に、

 この瞳の存在のなかに、

 まっすぐ入って、戸惑っていた、、

 時刻が膨れ、

 ぼこぼこと泡を立ててあなたは生まれる、、

 

 コミュニカシオの線と糸の端、

 あたしはどういう瞳だ、、

 風がいつから静かになって、

 あなたとともに動くようになった、、

 はい、はい、、

 あの砂に紛れて、

 ひとつの呼吸をする、、

 ふたつの歩垂れの、なかで、、

 あなたは仏みたいな面相で、

 劫から語りを起こす、

 それをきいてだんだんに白い膜のなかへ入ってゆく、、

 どうも、

 私は不確かな人間だ、

 身体を立てて、、

 あれはどこまできこえているのか、

 瞳に身体を溜めて、、

 静かにのびている人々、

 ああ、何故か、ここは、晴れた、、

 いとしい様相で、

 あたしは顔を入れる、、

 顔を静かに彫り入れる、、

 

 なあだんだんに、

 尽きぬ響きがもう、

 無音まで行き、、

 わたしはからからとした笑いで、

 すぐさま粒のしわざになり、

 集まる、、

 だれただれた、あのまま、、

 きかれてあわすそのただのハになり、、

 あれよ、あれよ、、

 まだきにあたしは咲く、、

 じりじりとヒを集めて、

 咲く、、

 あたしはその芳香に、、

 まとまり、ただ白さ、ただぼうとした、意のなかに行く・・・