<1909>「拾い物」

 部屋の隅にいる、、

 なにだ、

 空白地点に立っているように思える、、

 私はこの人間と、

 ことばのなかとに、、

 すっと潜っていくことを選ぶ、、

 あたしは大袈裟な声を出し、、

 いつもと同じ体操を済ませていた、

 この、火から、、

 私は浮遊を見留めた、、

 どこまで辿るのか、

 男の人は、、

 剥がれて、置いてきたものが多くなった身体で、、

 かつての記憶の上を、

 歩いて集めるようにしている、、

 

 そんな歩き方をする人を見留めて、、

 後ろから私はなんと声を掛けたらいいのだろうか、、

 こんにちは、、

 私もかつてここに点を作りました、、

 あなたもそうなのではないですか、、

 ええしかし、

 地図で地名を確かめても、

 あまり意味がないんです、、

 そのときの映像が残っているだけなのですから、、

 もしかしたら、

 あちらこちらで見つめたものが混ざって、、

 それは一ヶ所にあるものではないのかもしれません、

 剥がれてここまで来ました、、

 何もない、、

 何もないところまで来ないと、、

 そこから組み立てようもないのでしょうけれど、、

 美しいですね、、

 私の体験は、

 時間の同時性のために皆と共通だと錯覚していたのに、、

 そこから経つと、、

 あれは私以外の時間ではなかった、、

 まったくひとりだったんだな、

 ということが分かりますね、、

 一緒に見ていた夢から覚める感じと言いましょうか、、

 

 かつて当たり前に使われていたものが、片付けられる現場に、、

 集まれる人たちだけで集まって、

 それを見て、話していました、、

 特になにという気持ちも起こらなかったのですが、、

 皆と別れて、、

 ひとりで歩いていると、、

 今度はここへどうやって来たらいいのだろう、、

 手掛かりがなくなってしまった、と思い、、

 ひどく疲れたものでした、

 ここは、最初から何もなかったみたいに静かですね、、

 ええ、

 私は、感動している訳ではないと思うんです、、

 ええ、

 訳も分からないまま流れてきて、、

 ここに粒だけが残った、

 それは、拾いに来なければなと どうしてかは分からないが思うだけなんです、、