<1853>「生まれた日」

 私が生まれた日は、とても赤黄色いので、

 何事かと思っていた、

 人々は、興奮し、、

 大きな声を上げ、浮かれたような身振りで、

 残らず外へ消えてしまった、

 あとに静けさと、

 生きているにはこのぐらいの温度が必要なのか、どうか、

 分からなくなるほどの、熱があり、

 ともかくも、生まれて、息を吸っていた、、

 

 私は、腰をかけ、、

 騒ぎがおさまらない外を見ながら、、

 どうしてこんなに赤黄色いのか、

 私は、外に向かわなくてもいいのか、

 ひとりだけ、こんなところで楽しみを逃しているのか、

 という、

 まるで見当違いの魅惑的なささやきのなかに、

 しばらく棲んで、

 かきまわした、、

 あとからあとから水が出て、落ち着き、、

 私は、間近の本を開く、

 文字が流れる、

 附近は熱さで高揚してくる、、

 たらたらと汗をかいた、、

 私は廊下に出て、

 そこを、行ったり来たりした、、

 私が燃えている、、

 私が燃えているとささやくのは誰だ、、

 呼吸を落ち着ける、

 私がいつもいる部屋が、、

 だんまりを決め込むもののように見えて、

 興奮も、行き場を失い、

 途方に暮れた、、

 

 夕方、誰も知らない時刻、

 意識の狭間に、

 どこの、誰とも分からない、若い人間が、

 私の前に、立ち尽くしていた、、

 あなたは・・・

 私ですか、私は、ある赤黄色い日に生まれて、

 ここまで、呼吸を渡してきました、、

 あなたは・・・

 私、そうか、うん、私ですか、

 私は、

 どこかであなたが生まれた気がする、

 と、ここで静かに考えていた人間です、、

 

 そうか、、

 私のなかにこぼれるものがあり、

 いつかここに来ると気づいた内証は、

 これだったか、、

 私は多分あなたの名前を知ることも、

 どこかで見掛けることもなくなるだろう、

 ただ、あの赤黄色い日に棲んで、

 過ごしたということが、 

 この目の前の物を掴み、生きていくという合図には、

 十分なったのではないかと、ひとりでそう考えます・・・