<1226>「青色の糸は長い声を成す」

 青い糸が尋常な香りを備えて真っすぐに引っ張られてきている

 それだから全身仰ぐ

 仰ぐより仕方のなく

 ただ、ろれ、とほつれ、

 真っすぐに伸びやる

 その香りは私はそのままの背(セイ)で嗅いだ

 たんとここに嗅ぎやった、のだ、

 それから、青い糸はどこまでも

 淡々とゆき

 私のそばえ小さな香りのままほつれている

 ほつれきっている

 まるでなまの匂いしたから、

 私が小さな身振りでほつれる

 ほつれきっている

 身体の端(ハタ)

 はつ、はつ、はつ、

 青色の糸、

 はつ、はつ、て、はつれて、

 とれ、

 青色の糸、 嗅ぎやる、

 青、青、青の、

 ほつれた、

 私が嗅いでいる所、

 長い声をなし、

 浮動する、

 なんてことのないただの糸屑のようだ、

 それはただなんてことのない青の糸屑のようだが、

 全く段階的に足り、足るだけの表情を見せ、

 順にほつれ、順に離れ、

 散ず、散ず、散ず、、散ず、

 見やれ。

 糸から一番遠いところで生まれる準備しょう、

 そして切れ端(ハシ)に変ゲしょう、

 新しいもの、新しいもの、

 そして生まれたそばから、青くなって身体を去るもの、

 身体を去るもの、

 身体を去るもの、

 浮動する、そのまま隅の方へただ淡々と漏れてゆくもの、

 漏れてゆくひとつの線が、

 漏れてゆくひとびとの声が、

 青が、

 また段階的に織り込まれていて、

 はつれ、

 私がうんと探していたもの、、

 どこかに放擲してかえりみないもの、

 揺れがおさまらずにい、い、

 ひとり見つめている、

 青色のはつれていくのを見つめている、

 予感のなかの別の住まいで、

 また尋常に巻き上げてゆく横で、

 横顔を描出するただの小さな身振りで、

 身体の端(ハタ)から、折れ、身を軽く、

 跳躍して、

 しびれ、しびれ、、しびれ、

 はるかにその道行きを先取りしていたのだ、から、、