<1197>「実のなかへ潜り」

 かわいたそぶりを見していたのだ、

 誰が頷いている?

 全然運動でなくって、、

 あとになにか焦げ臭いものが残っていた、

 ひろうかもしれない、

 ひょっとしてそれは指についたままになっているのかもしれない、

 あのとき時間に引いた線が適当にぼやけ、

 緩やかな燃焼の身振り、、

 なんておそろしい華やかさだろう、

 静かだろう、、

 

 同じ形をいくらか保っていることによって、

 同じ運動をいくらかオコナってみることによって、、

 ばったりと出会うのだけれども、

 お互いは違うものを見ているのだな、

 それで、何を共有しているのかは分からず、

 じねん、照れている時間がある、

 じねんにあなたは現れてくる、

 

 順当に振舞いを見ているとき、

 声を継ぐとき、

 本当はこのまま沈黙を持っていればいいと思うのだが、

 何か掛けていたいような、

 全く無邪気なので自分でも なるほど驚くような空間の過ごし方だった、

 あんまり小さな言葉ではいけないと思うようなときに、

 あるあたたかさが流れてくる、、

 そうしたらしばらくそこへ、しまうも取り出だすのも忘れて茫漠と浮かんでいたらいい、

 

 やがて実となり、

 揺れる香りを放ち始めたときに、

 私なんかはそれを静かに見つめてしまう方だけれども、

 とてものことで指は待てないのだと思う、

 そこへ混入した線はいつまでも実のなかを行ったり来たりしているようだけれども、

 どうですか甘いですか、

 さてどうしてこんな大胆な身振りを持っているだろうか、

 私はただ余計な身振りを閉じていて、

 まるで夢中だけれども、

 その行いから徐々にほどけていくものがあり、

 気がつくと速やかに線を消していたりやなにかした、

 水が垂れる、

 垂れるにまかせていた、

 穏やかな声が じねん滑り出しているのを、

 言葉がただ淡々と続くのを、

 不思議な意識で過ぎていた、

 

 きっとこの夜からの拡がりが、

 ほかを覆ってどんどん進むようだから、

 かなり意識をしてそれを払うように、その場にいる人々で取り組んでいたと思う、

 なんせあんまり香りが立っていたから、

 ちょっと焦って、

 速やかに線の上へ被さり、

 前のめりに笑っていたりもしたと思う。