葉陰が透明に向かって挨拶するのを、私は偶然に見ていた。
ただ静かに、緊張に応えるようにしていた、
応えようとしていた、、
あいにく私が似合いの言葉を持ち合わせていないこと、
いくらか風が過ぎてしまった、
この時間はどこかへ溜まっていくのだろうか、
あいにく私が声を持ち合わせていないこと、、
ここはあんまり夢のように綺麗に晴れている、
穏やかな冷気がある、
穏やかなかわきがある、
この快さはどこで過ごしていくのだろうか、
私が空間を探すように、空間も声を探しているのだろうか、
隙間を肌で緩やかに感じ取っているのだろうか、
あるいはひとりの鳴き声が透明に映っている、
見当違いの方向へ、顔を向けてみている、
流れる、
やや無名の時間をふたりで過ごしていた、
かすかに無名の、
ここかしこに潰れた匂いがこぼれて、
響きがいつまでも残って、
あれから私は生まれたのだろうか、
わずかに青いと感じられるものから、
静かに距離を取って、
身振りを次々に映す、、
一日は適当なリズムを持っている、
一日は完全にかわいている、
ひとつひとつの歩行が丁寧に燃えている、
けぶっている、かわいている、
静かに溶けた陰のように、
眩んだ陽のなかの意識のように、
それは私に貼りついたまま、真剣にかわいている、
道を静かにさわっていて、
揺れて、揺れて、
あたたまっていて、
ひとりでも見えて、
陰に過去が聞こえて、
微笑んで、
暮れる、、
あれから私は生まれたのだろうか、
微妙な表情に僅かに指を添えていたのだろうか、
無名の隙間がいつも喉を探している、
手があからさまにのびている、
そこで私は生まれたのかもしれない、
ひとつの眼に驚いたままでいるのかもしれない、
ある華やかさが、
他意もなくひらめいていた
眼の理由はなにも明かされることはなかった、
わたしのまえで風があらゆる道を持ち、
そわそわとしながら、
肝心な呼吸と合わさり嬉しいという気持ちで居た、